2020年から新しくなった奨学金

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緊急事態宣言が解除され、学校の再開も間近という時期。大学や短大、専門学校への進学を考えている高校3年生の中には日本学生支援機構(JASSO)の奨学金を検討している人も多いのではないでしょうか。

日本では、約50%の大学生が何らかの奨学金を利用していると言われています。また2020年からは、高等教育の修学支援新制度が始まり、給付型奨学金や貸与型の第一種、第二種奨学金の基準や金額が、それまでと大きく変わりました。

給付型奨学金の対象者は、大学などの入学金・授業料の減免の対象ともなります。(手続きは別です。)対象となるならメリットは大きいので、ぜひ申請を考えましょう。そして高3生なら予約採用がおすすめです。

予約採用の手続きを進めるのは、おそらく今年は緊急事態明けの時期。新しい制度をよく理解して、必要な人は自分に会った奨学金を申し込みましょう。

2020年度からの新しい奨学金制度について。給付型奨学金や大学等の授業料等減免は【保存版】

予約採用と在学採用

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金の申し込みには、予約採用と在学採用があります。予約採用は、高校を通じて受験を控えた高校3年生、または卒業生(2浪まで)が申し込むことが出来ます。

今年(2020)は何事もなければ、春ごろから高校で3年生を対象に予約採用の奨学金説明会があり、手続きを進めて行ったのだろうと思います。しかし今回の休校により、学校再開後に説明会が延期されたり、遠隔での説明や手続きとなったりする高校がほとんどではないでしょうか。

一方、在学採用は大学等に進学してから学生が在学校に申し込む形です。毎年決まった時期に募集があり、予約採用で採用されなかった場合も再度申し込むことが出来ます。

なお、このほかに家計急変による申し込みもあり、該当する在校生は、通年で申し込むことが出来ます。

予約採用がおすすめの理由

こんなにいくつも申し込みの時期があるなら、とりあえず大学に進学してから考えればいいか…。今は勉強することが大事!と思う受験生もいるかもしれませんが、もし奨学金を考えていて対象の要件に当てはまりそうなら、予約採用での申し込みがおすすめです。その理由はというと…

学費の心配がなく進学できる

今回の緊急事態で、日本には奨学金を借りずにアルバイトで学費を賄う学生が大勢いるということが分かりました。アルバイトをすることを前提に学費の計画を立てていると、今年のようにアルバイトが出来なくなると、急激に困窮してしまいます。

もしまだはっきりしないけれども「アルバイトが出来なくなったら、学費が払えないかも…」という可能性があるなら、奨学金の予約採用を申し込んでから受験に臨むといいのではないでしょうか。

確かに貸与型奨学金は、将来返さなければならない借金ですので、なるべくなら借りたくないという考え方もあります。しかし、アルバイトを収入の柱にしてしまうと2020年のような不測のの事態が起こると対処が難しくなります。

奨学金は、採用候補者になっても、進学後に減額や辞退することもできます。

日本の大学の学費は高いです。そして入学料や授業料以外の出費がいろいろあります。家を出て一人暮らしを始めるならなおさら、入学時に思った以上にお金がかかります。

入学して、うまく大学生活が回り始めてから、貸与額を見直すこともできます。学費の心配がなく受験でき、不測に事態に対処しやすいというのが予約採用をおすすめする理由です。

在学採用より早く振り込まれる

予約採用の場合、最短で4月下旬または5月中旬に4・5月分がまとめて振り込まれます。

在学採用の春の場合、4月〜5月に申し込んでそれから審査があり、採用が決定してから4月からの分がまとめて振り込まれますが、時期は早くても6月または7月頃になることが多いようです。

大学等へ進学すると入学の前後の支出が大きくなりますので、支給が早いに越したことはありません。

奨学金の申請手続きは結構たいへん

奨学金の申請手続きは、基本的に学生本人が行います。なぜなら、奨学金が振り込まれるのは本人の口座であり、卒業後に貸与型奨学金を返済していくのも本人だからです。本人が奨学金とその返済について、理解していることは必須条件です。

しかし、それを高校生が理解し、手続きを進めるのは大変です。でも予約採用なら保護者もいますし、一緒に理解して分からないところは調べたり、高校の奨学金担当の先生に聞いたりしながら、申請することは比較的容易です。

もし在学採用で、一人暮らしとなった場合、その手続きは一人で行わなければなりません。大学にも窓口はありますし、担当者に質問することはできますが、高校の先生に聞くような雰囲気は望めないかもしれません。

また今年は、休校によりサイトやメールでの確認や郵送での手続きで、例年より手続きのハードルが高かったのではないでしょうか。

手続きは学生本人が行うとはいえ、生計維持者である保護者の署名や押印は必須です。一つの書類を作成するために、実家に戻ったり、なんども郵便でやり取りしたりしなくてはなりません。この手続きにより、そばに保護者がいる高校時代とは違う大変さを感じる人も多いようです。

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支援が届きにくいかも

2020年はアルバイト収入が途絶えたり、アルバイトを予定していたのにできなくなった大学生が続出し、大学生が声を上げたことで困窮する大学生のための支援が創設されました。

「学びの継続」のための「学生支援緊急給付金」と名付けられたこの給付金は、住民全非課税世帯の学生に20万円、それ以外の学生は10万円の給付が行われることになりました。

ただし、この給付の条件を見ると、一人暮らしでアルバイト収入が減ったことなどの他に、このような修学支援新制度の区分についての条件の記載があります。

6 原則として既存制度について以下のいずれかの条件を満たすこと
イ)修学支援新制度の区分I(住民税非課税世帯)の受給者(今後申請予定の者を含む。以下同じ)
ロ)修学支援新制度の区分II・III(住民税非課税世帯に準ずる世帯)の受給者であって、
無利子奨学金を限度額(月額5~6万円)まで利用している者(今後利用予定の者を含む。以下同じ)
ハ)世帯所得が新制度の対象外であって、無利子奨学金を限度額まで利用している者 二)要件を満たさないため新制度又は無利子奨学金を利用できないが、民間等を含め申請可能な支援制度を利用予定の者

文部科学省:「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』 ~ 学びの継続給付金 ~

最終的には大学が学生の申告に基づき判断するため、この基準を満たさないと絶対に受け取れないというわけではないようですが、この給付の手続きの時点で奨学金の対象となっていなければ、申請の難易度が上がる可能性はあります。

国がこういう緊急支援を行う場合、学生本人や家庭の収入要件を見るために一番手っ取り早いのは、マイナンバーに紐づけて審査を行った、この奨学金の区分を参考にすることなのでしょう。

そうあって欲しくはありませんが、この学生支援緊急給付金は、奨学金に頼らずアルバイトで生活費や学費を賄おうと頑張っている、本当に支援が必要な学生へ届かない可能性があります。

今回あぶり出されたこのことも、対象者となる可能性があるなら奨学金をなるべく早い時期に申請しておいた方がいいと思った理由です。

学生の学びの継続のための「学生支援緊急給付金」が創設。対象となるのは?

まとめ

そうは言っても、対象となるかどうか分からず、予約採用の申請をためらっている人もいるでしょう。目安を知りたい場合は、JASS0の進学資金シミュレーターを使って調べて見るといいと思います。

また予約採用で申請して採用候補者とならなかった場合は、再度在学採用で申請することもできます。1年経つと家族の年齢が上がったり収入に変動があったりで、結果が変わる可能性もあります。

志望校が固まっていない場合も、予約採用の申請をためらう理由になるかもしれません。でも奨学金の予約採用は、そういうものなんです。進学先はどこか、一人暮らしになるかどうか、もしかすると浪人するかもしれない…皆そういう状態で申請しています。

予約採用の採用候補者となったとしても、進学先で進学届などを出さなければ消えてしまう仕組みです。

予約採用の申請には期限があり、在籍の高校に確認し、締め切りを守る必要があります。おそらく多くの高校が春(今年は休校明け)のみです。

必要となる可能性がある人は、申請を検討してみてください。