何もかもイレギュラーな状態が続く2020年春、入学式の中止や授業開始を延期の決定をする大学が増加しています。入学が遅れても待ってくれない家賃や、新入学に伴う諸経費。経済的にも心配な状況で、奨学金や授業料減免はどうなるのか調べました。

入学や授業開始を延期する大学が増加

北大博物館

異例の対応が続く2020年の新入学の季節。入学式の延期や中止、授業の延期やオンライン配信決める大学が増加しています。状況が刻々と変化しているので、大学の新入生や在学生は、各大学のサイトをこまめにチェックした方がいいようですね。

入学が遅れたら奨学金も遅れる?

入学と同時に一人暮らしを始める予定の新入生とその保護者には、今年は特に心配が尽きません。

このような状態で引っ越しはどうするか、悩む方もいらっしゃるでしょう。しかし授業開始が状況に伴いどんどん遅れたところで、賃貸契約を結ばないわけにはいかず…。

待ってくれない家賃や、諸経費に悲鳴を上げたくなる大学生やその保護者もいらっしゃるのではないでしょうか。

特に奨学金を家賃などに充てる予定だった予約採用者にとって、入学や授業開始の遅れと共にもし奨学金の手続きや開始も遅れてしまうのなら死活問題という方もいるはずです。

というのも、奨学金の開始は予約採用となったら手続き終了ではなく、進学先の大学で手続きを行い、オンラインで進学届を出すことで初めて給付が始まるからです。

JASSO奨学金の、予約採用の進学後の手続き(進学届の提出)は次のような手順となります。

(1) 進学後、進学先の学校に「採用候補者決定通知【進学先提出用】」を提出します。
※ 「採用候補者決定通知【本人保管用】」は、進学届入力時に必要です。紛失しないようご注意ください。
※ 採用候補者決定通知に「入学時特別増額貸与奨学金(日本政策金融公庫の「国の教育ローン」の申込必要)」と記載のある方で、入学時特別増額貸与奨学金の貸与を希望する場合は別途提出が必要な書類があります。
(2) 進学先の学校から、進学届入力下書き用紙を受け取り、チェックシートに基づいて記入をします。
(3) 進学先の学校から、識別番号(ユーザIDとパスワード)を受け取ります。
(4) インターネットで進学届を提出してください。進学届提出用のページへは下記のリンクからアクセスできます。
提出する際は、採用候補者決定通知【本人保管用】に記載の「進学届提出用パスワード」も必要です。

また対象者は、進学先の指示により授業料減免の手続きを行います。授業料減免の対象者と区分は、給付型奨学金と同じです。

少し遅れて、給付型奨学金の誓約書、貸与型奨学金の返還誓約書の提出もあります。こちらも進学先の大学等の指示に従って提出期限を守って提出します。

手続きの時期によって初回振込日も変わります。初回振込日が5月以降となる場合、4月分からその月までの分の奨学金がまとめて振り込まれますが、経済的にも色々心配が多いこの状況の中、4月からの振込を望む方も多いのではないでしょうか。

2020年3月下旬の時点では、入学の延期やガイダンスの延期が決まって奨学金の手続きについても未定という大学はかなりあるようです。一方、対応が既に決まり、サイトで公表している大学もあります。

奨学金の開始の遅延が心配な方もいらっしゃると思いますが、おそらく未定の大学も近いうちに対応を公表すると思うので、とにかくこまめにサイトをチェックすることをお勧めします。

大学の奨学金対応例

ここでは、参考として北海道内の既に決まっている大学の対応をいくつか見てみたいと思います。未定の大学も似た対応を取る可能性があると思うので、2パターンの例をあげます。一つはガイダンスの分散実施。一つは奨学金手続きの遠隔実施です。3/30時点の情報ですので、最新の者は大学HPなどでお確かめください。

北星学園大学は

北星学園大学では、授業開始を4月27日に繰り下げます。
新年度オリエンテーションは、4/2〜25の日程で、対面、動画、プリントなどの方法で分散して実施する予定でしたが、緊急事態宣言に伴い、4月14日以降は中止となりました。
 
奨学金の予約採用の手続きの説明会については、授業開始前の4月6日、7日の日程で学部毎既に行われたようなので、入学時期の延期の影響で奨学金の初回振込が遅れることはなさそうです。

北星学園大学:日本学生支援機構奨学金予約採用候補者手続説明会のお知らせ

北海道大学は

北海道大学の奨学金予約採用候補者の進学届の5月以降となるようです。

新入学の学部1年生で,高校等で日本学生支援機構奨学金予約採用候補者として決定している方の進学届については,以下のようにお知らせしておりましたが,オンラインの授業に合わせ,掲示板ではなく,別の方法でお知らせします。詳細が決まり次第,改めてホームページにておしらせいたします。

 新入学の学部1年生で,高校等で日本学生支援機構奨学金予約採用候補者として決定している方の進学届の提出は,授業開始日の5月11日(月)から開始します。入力期限は5月26日(火)です。

 進学届提出に必要なID・パスワードの配付等の詳細は,5月初旬に高等教育推進機構3番掲示板でお知らせしますので,掲示でご確認ください。

授業料減免はどうなる

令和2年度から、高等教育の修学支援新制度による大学などの入学料・授業料の減免も始まります。こちらは奨学金とは別に進学先での手続きが必要ですが、新しい制度ということでどういう手続きになるのか、いつ行うのか、入学金の還付はいつになるのか、分からないことが多い状態です。

実際の手続きはそれぞれの大学の指示に従って行うこととなりますが、経済的にもイレギュラーが続く昨今、タイムスケジュールが気になりますよね。参考として釧路公立大学の例を挙げます。

釧路公立大学のホームページでは、令和2年度からの「高等教育の修学支援新制度による授業料減免」の申請についての記載があります。

こちらの大学では、前期授業料の減免申請時期は4月上旬、後期授業料の減免申請時期は9月下旬となっています。

申請書は、大学事務局カウンターへ取りに来るか、大学ホームページからのダウンロードするようになっています。

減免申請の受付は4/20まで。釧路公立大学総務課窓口に提出か郵送し、郵送の場合は簡易書留かレターパックを使います。

ちなみに予約採用候補者の減免結果の送付は5月下旬、減免後授業料の納付期限は6月30日です。

釧路公立大学:授業料の減免・分納について

入学料の還付

授業料の減免対象者は、入学料の減免対象でもあり、手続きを行えば支援区分や進学先の属性などにより既に支払っている入学料の還付を受けられると思います。手続きについては、進学先の大学からの通知などを見逃さないようにしましょう。

まとめ

高等教育の修学支援新制度は2020年から始まる新しい制度ということで、元々手続きなど分かりにくい部分があります。そしてなおかつ、今年は入学や授業開始を大幅に延期する大学も多く、更に分かりにくい状況になってしまいました。新入生や保護者は見えない先行きと経済に不安な状態だと思います。

大学も、奨学金採用の遅れが出ないよう工夫を凝らしているようですので、こまめにホームページをチェックして、情報の入手と手続きタイミングを逃さないようにしましょう。

※この記事は2020年4月15日時点の情報を元に書いています。状況が刻々と変わっているので、最新の状況は各大学のサイトなどで確認してください。