2022年1月26日、令和3年度北海道公立高等学校の入学者選抜の1回目の出願状況が発表されました。こちらは24日の入学願書締め切りを受けての当初の集計です。石狩学区の公立高校の倍率を見て行きます。

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2022年石狩全体の出願者数

北海道教育委員会1/26発表の当初出願状況によりますと、北海道・石狩の公立高校の出願者数と倍率は次のようになっています。

石狩の道立高校・全日制:募集人員9,800人に対し、一般出願者数が10,268人、推薦出願者数が544人。出願者数合計が10812人。倍率は昨年と同じ1.1倍。

札幌市立高校・全日制:募集人員1,680人に対し、、一般出願者数が2,094人、推薦出願者数が253人。出願者数合計が2347人。倍率は昨年と同じ1.4倍。

定時制については、石狩の道立高校・定時制の倍率は昨年と同じ0.3倍。札幌市立大通は0.2ポイントアップの1.4倍となっています。

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石狩・札幌の状況

2022年1月26日現在、東西南北と、倍率1.3倍を超えた札幌市内の公立高校と学科名を以下の表にまとめてみました。

学校名 学科名 募集人員 出願者合計 倍率
札幌東 普通 320 528 1.7
札幌西 普通 320 559 1.7
札幌南 普通 320 380 1.2
札幌北 普通 320 410 1.3
札幌月寒 普通 320 476 1.5
札幌平岡 普通 240 306 1.3
札幌国際情報 普通 80 136 1.7
国際文化 80 120 1.5
理数工学 40 63 1.6
グローバルビジネス 120 153 1.3
石狩南 普通 280 354 1.3
札幌啓成 理数 40 80 2.0
市立札幌旭丘 普通 240 365 1.5
市立札幌藻岩 普通 240 341 1.4
市立札幌平岸 普通 280 536 1.9
デザインアート 40 58 1.5
市立札幌清田 普通 200 304 1.5

※2022年1月26日発表の当初倍率
※札幌旭丘より下は札幌市(市立)高等学校です。

この倍率は、当初の出願を受けて、各高校の学科の「出願数合計」を「募集人員」で割ったものです。つまり、推薦と一般入試を合わせた倍率となります。一般入試の倍率は、「一般出願者数」を「募集人員から推薦合格者数を引いた人数」で割って出さねばならず、また推薦人気校では推薦不合格者が一般入試に再出願することへの考慮も必要です。

つまり推薦入試を実施する高校の一般入試の実際の倍率は、この倍率より高くなる可能性があります。(四捨五入マジックにより同じに見える時もあります。)

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トップ校は札幌西と札幌東の倍率が高い

札幌東西南北の中では札幌西と札幌東が1.7倍とかなり高くなっています。札幌南は1.2倍、札幌北は1.3倍です。

最高倍率は札幌啓成・理数の2.0倍

石狩の全日制の最高倍率は、昨年に続き札幌啓成の理数科で2.0倍となっています。この倍率は、昨年の当初と同じ。ここ何年も高い倍率が続いています。

札幌啓成理数科の一般選抜入試では、学力試験の数学、理科、英語の得点を1.5倍する傾斜配点を使って選抜しています。

募集人員が40人と少なく、専門学科のため推薦の枠が50%あります。理科で物理・化学・生物の3分野を学習できる理系の学科を持つ高校が札幌では少ないので、募集人員に対してニーズが高いのかもしれません。

ちなみに札幌啓成の普通科は1.1倍。昨年の1.4倍から0.3ポイント減。

札幌国際情報は4学科とも高倍率

札幌国際情報は4学科とも高倍率になっています。

普通科が1.7倍、国際文化が1.5倍、理数工学が1.6倍、グローバルビジネスは1.3倍です。普通は昨年から0.1ポイント、国際文化は0.3ポイント、理数工学とグローバルビジネスも0.3ポイントの上昇。

ここ数年社会状況から国際関係の学科は志望がしにくい状況でしたが、少しずつ戻って来ているのでしょうか?

情報や工学が学べる学科も人気が集まっています。

札幌市立高校

札幌市立高校が人気

札幌市立高校の人気が高い印象です。

市立札幌旭丘が1.5倍。市立札幌平岸の普通が1.9倍、デザインアートが1.5。市立札幌藻岩の普通が1.4倍。市立札幌清田の普通が1.5倍。市立札幌新川が1.2倍。

1.4倍以上の学科が5つあります。普通科でも単位制などで学びを工夫している高校が多いことも人気に影響しているのかもしれません。

市立札幌平岸の普通は昨年の1.7倍から0.2ポイント増加。1.9倍という高さになっています。

市立札幌新川の倍率が落ち着いています。(2019年1.7倍→2020年1.5倍→2021年1.2倍→2022年1.2倍)推薦出願者数も推薦枠内に収まっています。

市立札幌旭丘のデータサイエンス新設の影響

市立札幌旭丘高校は、昨年までの普通科のみ(募集人員320名)の高校でしたが、2022年度からは普通科(募集人員240名)と数理データサイエンス科(募集人員80名)の2つの学科を持つ高校と変わります。

2022年度北海道高校入試はここに注意!(2)市立札幌旭丘と札幌大通の変更の影響は

普通科

もともと非常に人気の高い普通科の高校であった市立札幌旭丘。2つの学科に分かれることで、昨年までの普通科の定員が320名から80名減って、240名になりました。これにより普通科志望の受検生は、厳しい受検を覚悟するか志望校を他へ変更するかの選択を迫られたことでしょう。

結果、普通科の一般と推薦を合わせた当初倍率は、1.5倍。昨年の1.6倍より0.1ポイント減少です。依然として高い倍率ではありますが、昨年を下回りました。

倍率は0.1ポイントの減少ですが、普通科の出願者数は昨年の497名から今年の365名と大幅減です。出願するかどうかの葛藤で、断念した受検生も多いことでしょう。

ちなみに普通科の推薦入試は、推薦標準枠は48名のところ推薦出願者数62名

数理データサイエンス科

新設の数理データサイエンス科は、募集人員80名のところ出願者が52名。一般と推薦を合わせた当初倍率は0.7倍と定員割れしています。
数理データサイエンス科の推薦入試は、推薦標準枠は40名のところ推薦出願者数13名

新設ということと数理データサイエンスという聞きなれない学科ということもあり、出願を控えた理数志望者もいたかもしれません。

ただ、市立札幌旭丘は、出願する学科以外を第2志望とすることができます。つまり普通科出願の受験生が数理データサイエンス科を第2志望にしている場合があるので、普通科からのスライド合格で合格発表後に実際に定員割れする可能性は低いと思われます。

石狩の定時制について

石狩の道立の定時制の倍率は、昨年と変わらず0.3倍となっています。それに対して、札幌市立の定時制、市立札幌大通の倍率は高くなっています。

市立札幌大通の普通科は、午前・午後・夜間がありますが、推薦と一般を合わせた倍率は、以下のようになっています。

学校名 学科名 募集人員 出願者合計 倍率
市立札幌大通 普通(午前) 110 201 1.8
普通(午後) 90 152 1.7
普通(夜間) 90 63 0.7

午前の倍率が1.8倍、午後が1.7倍、夜間が0.7倍となっており、全体で1.4倍です。

昨年に比べて午前が0.4ポイント増、午後が0.2ポイント増です。道内の定時制のほとんどが定員割れしている中、突出して高い倍率です。

夜間との倍率差を見ても分かるように、日中に通える定時制高校が少ないため、午前と午後部のニーズが高いのでしょう。

なお2022年度からの北海道高校入試の変更として定時制の自己推薦入学者選抜の導入される影響もあると思います。

市立札幌大通の出願者数は、一般入試に比べて推薦出願者が大幅に多くなっています。

普通(午前)は、一般出願者61名に対し、推薦出願者数は140名。
普通(午後)は、一般出願者38名に対し、推薦出願者数は114名。

自己推薦になったことで、2回受検のチャンスがある推薦に出願者が増えることは当然です。推薦で不合格になってももう一回受検のチャンスがあり、市立札幌大通のように複数のコースがある場合はスライド合格も考えられます。

1回目のチャンスは自分の本当に行きたい高校へ出願し、不合格だった場合は再考して2回目のチャンスを生かす。それが自己推薦の特徴です。

それにしても、もう何年も市立札幌大通の午前と午後の高倍率が続いているのでニーズは明らかです。受検制度の変更でなんとかなる範囲を超えているように見えます。日中に通える同じような特性を持つ高校を増やして分散させればと思うのですが…

2022年当初倍率を見て思うこと

今年の石狩の出願状況を見ると、いわゆる人気校の倍率は更に高くなる一方、1倍程度あるいは定員割れという高校も多いという状況が見られます。

令和2年からの私立高校授業料の実質無償化の実施以来、公立優位と言われる北海道でも何が何でも公立高校を…という方針ではない家庭も増えているのではと思います。

たとえチャンスが一回しかない一般受験でも、本当にそこで学びたいと思える憧れの公立高校を受験したい。そういう気持ちを私立無償化の制度が後押ししている実態はあるでしょう。

また、北海道の高校受検制度では高校が工夫できる範囲が狭く個性が出にくいという特徴があります。そのため内申ランクで縦割りされた上位の高校に人気が集まり易いという側面があると思います。

その上ここ数年部活動や大会も制限を受け、今まで以上に内申ランク以外の高校の個性や魅力が見えにくくなっています。ランクでアピールできず、個性の見えにくい普通科の高校の苦戦が倍率に表れているように感じます。

トップ校でなくても、個性が見える高校は人気が集まっています。札幌国際情報は普通科以外の全ての学科で高倍率となりましたし、札幌啓成の理数はここ数年ずっと高倍率が続いています。市立札幌平岸は普通科もデザインアートも人気です。市立札幌大通の昼間に通えるコースの人気も、他の高校にない個性が魅力となっているのでしょう。

一部の内申ランク上位、または個性が際立つ高校だけが高倍率という状況で、ほとんどの受検生が一度しかチャンスを貰えない北海道の制度を続けていけば、公立高校から私立へ受検生がどんどん流出していきます。それがねらいなのか、それとも流出は避けたいのか、道教委に聞いてみたいところです。

今後の出願変更などは

【2022年度北海道高校入試】出願から入学までのスケジュール

これが最終的な倍率ではありません。この倍率を見て、短い期間ですが出願を変更をすることができます。

一般入試の出願変更期間は、2022年1月27日(木)~2月2日(水)となっています。希望する人は在籍する中学校を通じて出願を変更します。

途中、2022年1月31日(月)には出願変更状況の中間発表があり、各高校に掲示されます。

1月31日正午時点の出願変更の中間状況

2022北海道公立高出願変更の中間状況は?出願変更は2/2まで

推薦入学面接日は、2022年2月10日(木)

出願変更後の出願状況がわかるのは、2022年2月14日(月)。北海道教育委員会のサイト、各高校掲示で発表されます。

推薦入試の合格内定者数の発表は2月18日(金)。そして推薦に合格できなかった人のために2022年2月21日(月)~2月24日(木)の日程で、一般入試への再出願期間が設けられています。

その結果を受けて最終的な再出願後の出願状況がわかるのは2022年3月1日(火)です。道教委のサイトや新聞で、貴重な現在の出願状況の情報が期間限定で掲載されていきますので、参考までにチェックするといいと思います。

3月1日発表の再出願後の出願状況(一般入試の最終倍率)

北海道公立高・最終の一般入試の倍率は【2022】再出願後の出願状況

しかし数字にとらわれて一喜一憂せず、あくまでも受検に向けて自分の状態を整えてけるといいですね。先行き不透明な部分が多く、受検生と保護者の皆さんは気を揉んでいると思います。どうか皆さんが健康にラストスパートを乗り切れますように!

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参照:北海道教育委員会 高等学校入学者選抜状況 :出願状況

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