2023年1月25日、令和5年度北海道公立高等学校の入学者選抜の1回目の出願状況が発表されました。こちらは23日の入学願書締め切りを受けての当初の集計です。石狩学区の公立高校の倍率を見て行きます。

2023出願状況

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推薦の倍率を計算してみました。

全道の当初倍率の高倍率校と推薦の倍率の記事です。(石狩を除く)

2023年の私立高校の出願状況が2月9日に発表されました。

2023年石狩全体の出願者数

北海道教育委員会1/25発表の当初出願状況によりますと、北海道・石狩の公立高校の出願者数と倍率は次のようになっています。

石狩の道立高校・全日制:募集人員9,560人に対し、一般出願者数が 9,053人、推薦出願者数が1,657人。出願者数合計が10710人。倍率は昨年と同じ1.1倍。

札幌市立高校・全日制:募集人員1,680人に対し、、一般出願者数が1,534人、推薦出願者数が705人。出願者数合計が2,239人。倍率は昨年より0.1ポイント下がって1.3倍。

定時制については、石狩の道立高校・定時制の倍率は昨年と同じ0.3倍。札幌市立大通は昨年と同じ1.4倍となっています。

ただし、今年度から推薦入試が自己推薦になったことで、推薦入試の志願者が大幅に増えています。志望校が推薦入試を採用していれば、2回受検のチャンスがある推薦に出願者が増えることは当然ですよね。

今回発表されている当初倍率は推薦と一般を合わせた全体の倍率なので、推薦入試採用校の実際の受検の倍率とは異なると考えた方が適切なのかも知れません。推薦の倍率も、一般入試の倍率も当初の倍率とは違うものとなるでしょう。

推薦の倍率はまた別の記事で計算してみます。

石狩・札幌の状況

2023年1月25日現在、東西南北と、倍率1.3倍を超えた札幌市内の公立高校と学科名を以下の表にまとめてみました。

学校名 学科名 募集人員 出願者合計 倍率
札幌東 普通 320 451 1.4
札幌西 普通 320 471 1.5
札幌南 普通 320 452 1.4
札幌北 普通 320 465 1.5
札幌月寒 普通 320 409 1.3
札幌平岡 普通 240 308 1.3
札幌国際情報 普通 80 154 1.9
国際文化 80 131 1.6
理数工学 40 53 1.3
グローバルビジネス 120 191 1.6
千歳 普通 200 266 1.3
国際流通 80 137 1.7
札幌啓成 理数 40 83 2.1
琴似工業 情報技術 80 103 1.3
市立札幌旭丘 普通 240 409 1.7
市立札幌平岸 普通 280 472 1.7
デザインアート 40 64 1.6
市立札幌清田 普通 200 275 1.4
市立札幌新川 普通 320 428 1.3

※2023年1月25日発表の当初倍率
※札幌旭丘より下は札幌市(市立)高等学校です。

この倍率は、当初の出願を受けて、各高校の学科の「出願数合計」を「募集人員」で割ったものです。つまり、推薦と一般入試を合わせた倍率となります。一般入試の倍率は、「一般出願者数」を「募集人員から推薦合格者数を引いた人数」で割って出さねばならず、また推薦人気校では推薦不合格者が一般入試に再出願することへの考慮も必要です。

つまり推薦入試を実施する高校の一般入試の実際の倍率は、変化する可能性が高く、自己推薦となって推薦志願者が増加した今年度からは、人気校の倍率の変化はより顕著になることも考えられます。(四捨五入マジックにより同じに見える時もあります。)

北海道公立高校の倍率はなぜ何度も発表?理由と日程、データの読み方

トップ校の倍率はほぼ横並び

昨年の札幌東西南北の倍率は、札幌西と札幌東が高くなっていましたが、今年は札幌東と札幌南は1.4倍、札幌西と札幌北は1.5倍となっています。

最高倍率は札幌啓成・理数の2.1倍

石狩の全日制の最高倍率は、昨年に続き札幌啓成の理数科で2.1倍となっています。この倍率は、昨年の当初と同じ。ここ何年も高い倍率が続いています。

札幌啓成理数科の一般選抜入試では、学力試験の数学、理科、英語の得点を1.5倍する傾斜配点を使って選抜しています。

募集人員が40人と少なく、推薦の枠が30%になっています。理科で物理・化学・生物の3分野を学習できる理系の学科を持つ高校が札幌では少ないので、募集人員に対してニーズが高いのかもしれません。

ちなみに札幌啓成の普通科は1.2倍。昨年の1.1倍から0.1ポイント増。

札幌国際情報も高倍率

札幌国際情報は4学科とも高倍率になっています。
普通科が1.9倍、国際文化が1.6倍、理数工学が1.3倍、グローバルビジネスは1.6倍です。普通は昨年から0.2ポイント、国際文化は0.1ポイント、グローバルビジネスは0.3ポイントの上昇。

社会状況もあり国際関係の学科の人気はここ数年落ち着いていた印象ですが、少しずつ戻って来ているのでしょうか?

札幌市立高校

札幌市立高校が人気

札幌市立高校の人気は引き続き高いようです。

市立札幌旭丘普通のが1.7倍。市立札幌平岸の普通が1.7倍、デザインアートが1.6倍。市立札幌清田の普通が1.4倍。市立札幌新川が1.3倍。

1.3倍以上の学科が5つあります。普通科でも単位制などで学びを工夫している高校が多いことも人気に影響しているのかもしれません。

この倍率は推薦出願者数の多さも影響しているでしょう。推薦枠を大幅に超えている学校が多いので、推薦不合格者も多く出そうです。推薦内定後の再出願後の倍率にも注意が必要です。

市立札幌旭丘について

市立札幌旭丘高校は、以前は普通科のみ(募集人員320名)の高校でしたが、2022年度からは普通科(募集人員240名)と数理データサイエンス科(募集人員80名)の2つの学科を持つ高校と変わりました。

普通科

もともと非常に人気の高い普通科の高校であった市立札幌旭丘。2つの学科に分かれることで、それまで普通科の定員が320名から80名減って、240名になりました。これにより昨年の普通科志望の受検生は、厳しい受検を覚悟するか志望校を他へ変更するかの選択を迫られたことでしょう。

結果昨年の普通科の出願者数は一昨年の497名から昨年の365名と大幅減となりました。そして今年は409名と人数を戻して来ており、当初倍率は1.7倍。

ちなみに昨年の普通科の推薦入試は、推薦標準枠は48名のところ推薦出願者数62名。
今年の普通科の推薦入試は、推薦標準枠は48名のところ推薦出願者数141名です。

推薦出願者が大幅に増加しています。

数理データサイエンス科

創設2年目の数理データサイエンス科は、募集人員80名のところ出願者が61名。一般と推薦を合わせた当初倍率は0.8倍と定員割れしています。

数理データサイエンス科の推薦入試は、推薦標準枠は24名のところ推薦出願者数32名。推薦では不合格者が出ることになりそうです。

市立札幌旭丘は、出願する学科以外を第2志望とすることができます。つまり普通科出願の受験生が数理データサイエンス科を第2志望にしている場合があるので、普通科からのスライド合格で合格発表後に実際に定員割れする可能性は低いと思われます。

新設当初は人気の札幌啓成・理数の受け皿になるかとも思ったのですが、そうでもないようです。やはり専門性の高い特殊な学科というように認識されているのかも知れません。

石狩の定時制について

石狩の道立の定時制の倍率は、昨年と変わらず0.3倍となっています。それに対して、札幌市立の定時制、市立札幌大通の倍率は高くなっています。

市立札幌大通の普通科は、午前・午後・夜間がありますが、推薦と一般を合わせた倍率は、以下のようになっています。

学校名 学科名 募集人員 出願者合計 倍率
市立札幌大通 普通(午前) 110 196 1.8
普通(午後) 90 142 1.6
普通(夜間) 90 70 0.8

午前の倍率が1.8倍、午後が1.6倍、夜間が0.8倍となっており、全体で1.4倍です。

道内の定時制のほとんどが定員割れしている中、突出して高い倍率です。

夜間との倍率差を見ても分かるように、日中に通える定時制高校が少ないため、午前と午後部のニーズが高いのでしょう。

なお2022年度からの北海道高校入試の変更として定時制の自己推薦入学者選抜の導入される影響もあると思います。

市立札幌大通の出願者数は、一般入試に比べて推薦出願者が大幅に多くなっています。

普通(午前)は、一般出願者69名に対し、推薦出願者数は127名。
普通(午後)は、一般出願者47名に対し、推薦出願者数は95名。

自己推薦になったことで、2回受検のチャンスがある推薦に出願者が増えることは当然です。推薦で不合格になってももう一回受検のチャンスがあり、市立札幌大通のように複数のコースがある場合はスライド合格も考えられます。

1回目のチャンスは自分の本当に行きたい高校へ出願し、不合格だった場合は再考して2回目のチャンスを生かす。それが自己推薦の特徴です。

それにしても、もう何年も市立札幌大通の午前と午後の高倍率が続いているのでニーズは明らかです。受検制度の変更でなんとかなる範囲を超えているように見えます。日中に通える同じような特性を持つ高校を増やして分散させればと思うのですが…

2023年当初倍率を見て思うこと

今年の大きな変化といえば、推薦入試が学校推薦から自己推薦に変わったことでしょう。

昨年までの推薦入試はまず中学校での推薦というハードルがあったため、一部の人気校を除き、推薦出願者数は推薦枠内におさまるケースの方が多い状態でした。

今年からは自己推薦となったため、推薦出願者数が推薦枠を超える高校が多数出ています。ただ正直、自己推薦ということで推薦志願者はもっと多くなるのではないかと勝手に予想していました。公立高校受検のチャンスが2倍になる圧倒的有利な推薦入試ですので。

今年は様子見なのか、もしかすると抑制するような指導や伝達があるのかもしれません。

それでも例年より多くの推薦不合格者が出ることになり、推薦内定発表後の再出願を行う受検生が増加することになるでしょう。

再出願後の出願状況の発表(2/28)に注目です。

又、石狩の出願状況を見ると、いわゆる人気校の倍率は更に高くなる一方、1倍程度あるいは定員割れという高校も多いという状況が見られます。

令和2年からの私立高校授業料の実質無償化の実施以来、公立優位と言われる北海道でも何が何でも公立高校を…という方針ではない家庭も増えているのではと思います。

本当にそこで学びたいと思える憧れの公立高校を受験したい。そういう気持ちを私立無償化の制度が後押ししている実態はあるでしょう。

北海道の高校受検制度では高校が工夫できる範囲が狭く個性が出にくいという特徴があります。そのため内申ランクで縦割りされた上位の高校に人気が集まり易いという側面があると思います。

その上ここ数年部活動や大会も制限を受け、今まで以上に内申ランク以外の高校の個性や魅力が見えにくくなっています。ランクでアピールできず、個性の見えにくい普通科の高校の苦戦が倍率に表れているように感じます。

トップ校でなくても、個性が見える高校は人気が集まっています。札幌国際情報や札幌啓成の理数はここ数年ずっと高倍率が続いています。市立札幌平岸は普通科もデザインアートも人気です。市立札幌大通の昼間に通えるコースの人気も、他の高校にない個性が魅力となっているのでしょう。

一部の内申ランク上位、または個性が際立つ高校だけが高倍率という状況が続けば公立高校から私立へ受検生がどんどん流出していくのではと懸念しています。

今後の出願変更などは

これが最終的な倍率ではありません。この倍率を見て、短い期間ですが出願を変更をすることができます。

一般入試の出願変更期間は、2023年1月27日(金)~2月2日(木)となっています。希望する人は在籍する中学校を通じて出願を変更します。

途中、2023年1月31日(火)には出願変更状況の中間発表があり、各高校に掲示されます。
2023年北海道公立高出願変更の中間状況は?出願変更は2/2まで

推薦入学面接日は、2023年2月10日(金)

出願変更後の出願状況がわかるのは、2023年2月13日(月)。北海道教育委員会のサイト、各高校掲示で発表されました。

推薦入試の合格内定者数の発表は2月17日(金)。そして推薦に合格できなかった人のために2023年2月20日(月)~2月22日(水)の日程で、一般入試への再出願期間が設けられています。

その結果を受けて最終的な再出願後の出願状況がわかるのは2028年2月28日(火)です。道教委のサイトや新聞で、貴重な現在の出願状況の情報が期間限定で掲載されていきますので、参考までにチェックするといいと思います。

しかし数字にとらわれて一喜一憂せず、あくまでも受検に向けて自分の状態を整えてけるといいですね。先行き不透明な部分が多く、受検生と保護者の皆さんは気を揉んでいると思います。どうか皆さんが健康にラストスパートを乗り切れますように!

参照:
北海道教育委員会 高校入試
 令和5年度(2023年度)公立高等学校入学者選抜出願の状況

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