札幌市は、2023年までに小・中学生に1人1台ずつ教育用のタブレット端末を支給すると発表しました。

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2023年度までに段階的に支給

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令和2年度はまず小学5・6年生、中学1年生に支給される予定で、およそ46億円の補正予算案を計上。2023年までには 札幌市の小・中学生全員に支給する予定だそうです。

札幌市は、新年度から小中学生に1人1台のタブレット端末を支給するため、およそ46億円の補正予算案を計上すると発表しました。

 10日、公表された、札幌市の一般会計の補正予算案は、総額で197億3150万円です。

 札幌市は2023年度までに、小中学生全員に、1人1台ずつ、教育用タブレット端末を支給する予定です。

 今回はこのうち、小学5年生と6年生、中学1年生が使う端末4万4000台分の購入費などとして、およそ46億円を計上しました。

引用元:HBC北海道放送1人1台小中学生に「教育用タブレット端末」札幌市補正予算案 北海道

札幌市、思い切りましたね!驚きました。平成31年4月から学習者用デジタル教科書が制度化されたものの、北海道での導入はまだまだ先かと思っていたので、こんなに早く1人1台のタブレット端末支給が実現するとは、驚きと共に大歓迎です。

北海道と札幌の英語教育の現状

英語教育実施状況調査

というのも、昨年こちらの記事
道内中学生を対象に英検IBA(読む・聞く)が無償実施。背景に英語教育実施状況調査が

で書かせていただいたのですが、北海道・札幌市共に文部科学省による英語教育実施状況調査の結果が非常に振るわなかったという現状がありました。

国の計画では、中学校卒業段階で英検3級(CEFR A1)レベル相当以上の中学生の割合を50%とすることを目標としていますが、全国の中学生の値は42.6%。それに対して北海道は30%。全国平均に12.6%も足りず、最下位。札幌市の結果も33.9%と全国平均に全く及びませんでした。

ちなみに全国トップの県は福井県で61.2%。指定都市のトップはさいたま市で75.5%です。きちんと取り組んでいる地域では結果が出ており、北海道も危機感を持ったのか、昨年英検IBA(RL)というテストを無料で北海道の全公立中学校に導入しました。

英語の教科書に音声がついてなかった

この結果を見て、私はまあそうだろうな…と思いました。札幌の中学生は、基本音声なしで英語の家庭学習をしなくてはならなかったので、当然そうなるよな…と。

大学入試における民間英語テスト導入は延期されましたが、これからの教育を考える上で、英語の読み書きだけではなく、スピーキングやリスニングの力をつけることは必要です。

リスニングやスピーキングの力をつけるためには、CDと一緒に声を出すシャドーイングやCDを聞いて聞こえた文を書くディクテーションが有効ですが、札幌の公立中学校ではそういう家庭学習の課題を出すことはできないのです。

なぜなら、札幌の公立中学校で採択している英語の教科書「サンシャイン」には音声CD、または音声ダウンロードなどの英語の音に触れる仕組みが付いていません。

公立中学で中学生が手にするのは紙の教科書とワークのみ。本屋などに行けば教科書ガイドCDを購入することはできますが、2,750円と決して安価ではなく、全員が購入する訳ではないでしょう。こんな状態で今まで音読のテストなどどうしていたのでしょう?音声CDを買うかどうかで格差があったのではないでしょうか。

授業でCDを流すことはあるでしょうが、家庭で英語学習を進めるのに音声がないというのは、初心者の学習にとって非常に厳しい状態です。音楽を知るために、楽譜だけ配布されても困るのと同じです。

書店で売っている英語学習の本で、CDなどの音声が付いてないものはほとんどないですよね。音声がないと効果が大幅に落ちるからです。

それなのになぜ中学生の教科書だけないのか、そこを教科書ガイドのビジネスに配慮するのはおかしいだろうと不思議で仕方ありませんでした。

全国学力テストで英語のスピーキングも

更にこちら全国学力テストが変わる!中3の英語はスピーキングもの記事で書きましたが、2019年度から中学3年生が受ける全国学力テストで、音声をPCに向かって録音するタイプのスピーキングテストが導入されています。

2019年はスピーキングの結果の公表はされていませんが、おそらく苦戦した中学生も多かったのではないかと思います。というのも、外国語を話して音声を録音するというのは、例えばDuolingoなどの外国語学習アプリに触れたことがある方ならわかると思うのですが、慣れればどうってことはないのですが、初めての時は結構緊張します。

ようは慣れです。普段からそういう操作をしているかどうかが、結果を左右するのではないかと思うのです。そしてこのタイプのスピーキングテストは、今後避けて通れなくなるのではと思います。英検CBT、S-CBTのスピーキングでは、同じく解答を録音する吹込み式を採用しています。

大学入試が今後どうなるか不透明ですが、これからは普段から音声吹込み方式を使いながら英語学習を進める経験が役に立つはずです。

全国学力テストで初めてスピーキングの録音を経験した中学3年生は、緊張したのではないかと思います。英語の実力以上に、録音して英語の学習を進める経験があったかどうかが物を言う結果だったのではないでしょうか。

今後の教育への投資へ期待

デジタル教科書にすれば、文字を見ながら音声を聞くことが可能なので、家庭学習でシャドーイングなどのトレーニングをすることができます。また音声録音もできると思うので、スピーキング対策も容易になり、これらの問題が一気に解決します。

しかし昨年の段階では北海道や札幌市にそれを望むのは無理だろうと諦めていました。そこでまずはせめてCDの配布またはネットから音声ダウンロードができる教科書(そういうのもあります)の採択を…と書いたのですが、札幌市、やれば出来るんですね!

無理と決めつけてしまってすいませんでした!謝罪します。

実際にどういうものが支給されるのかは分かりませんが、こちら、文部科学省:学習者用デジタル教科書のイメージが参考になります。

英語だけではなく、他の教科の取り組みも、1人1台教育用タブレット端末を持つことで劇的に変わるはずです。教育に予算を割く決断が出来たことは、今後への非常に良い投資となるのではないでしょうか。

秋田の東成瀬村のケースもあるように、教育は自治体の大きさに関わらず、工夫や考え方次第で成功する可能性のある分野です。

北海道の経済の弱さから、若者が流出が嘆かれて久しいですが、思い切り教育や若い人のビジネスに投資し新しい価値を創出することで、未来が変わっていくかもしれません。

若者だって好きで流出している訳ではありません。仕事や活躍できる舞台があれば、留まったり地元に戻ったりしたい人は大勢います。

そしておそらく、そうした新しい舞台を作れるのは、新しい教育を受けた若い人たち自身です。どうすれば彼らが活躍できるのか、それを考え支援し育てるのが教育でであり、今の大人に出来る責務なのでしょう。

今回の投資を始めの一歩として、北海道の子ども達のために、教育環境を整えていくことを道や市の教育行政に期待します。子供はあっという間に大人になりますから、それがやがて地域や北海道全体の活力につながるのではないでしょうか。