英検IBA(RL)が道の公立中学校で実施

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北海道のすべての公立中学校の中学生を対象に英検IBA(RL)という英語の「読む」「聞く」力をチェックできるテストが行われました。令和元年の実施は10月7~25日の間。中学生をお持ちのご家庭には、通学している公立中学校から日時が連絡されているのではないでしょうか。

当初は札幌市を除く全道の中学生と発表されていましたが、札幌市の公立中学校でも行われることになりました。このテストは「日本英語検定協会」によるもので、英語の4技能のうち「読む」「聞く」の2つの技能をチェックできます。ちなみにRLはReading Listeningの略です。

英語教育実施状況調査

このテストは当面今後3年間継続する計画です。なぜこのようなテストが行われることになったかというと、文部科学省による英語教育実施状況調査の北海道・札幌の結果が非常に振るわなかったということがあるようです。

国の3期教育振興基本計画では、中学校卒業段階で英検3級(CEFR A1)レベル相当以上の中学生の割合を50%とすることを目標にしています。

それに対し平成30年度の英検3級レベル相当以上を達成した中学生の平均値は42.6%。そして北海道は30%で最下位という結果に。全国平均に12.6%も足りませんでした。ちなみにこの調査は指定都市の結果も公表されているのですが、札幌市の結果は33.9%。道の割合と大差なく、全国平均に全く及びません。

ちなみに全国トップの県は福井県で61.2%。指定都市のトップはさいたま市で75.5%です。トップと比べるとおよそ半分の割合です。この結果もあり、道教委は今回の英検IBA(RL)の全公立中学校導入に踏み切ったのでしょう。

参照: 文部科学省サイト 平成30年度「英語教育実施状況調査英語教育実施状況調査」概要

英検IBA(RL)とは

英検IBA(RL)は、通常の英検と同じ日本英語検定協会が運営しているテストですが、試験時間が約45分と短く、学校の授業内に収まり自分の実力を確認することが出来ます。受検料は500円のところ、今回の北海道でのテストは、協会が無償で協力。英語教育実施状況調査を受けて、道教委も積極的に英語教育を考えざるを得なかったのではないでしょうか。

前述の通り、RLはReadingとListeningの略で、英語の4技能のうち「読む」「聞く」の2つの技能をチェックします。結果は学校を通じて生徒に渡されますが、通常の英検と違って合格・不合格があるテストではなく、現在の受験者の英検級レベルがどこなのかが分かるようになっています。

例えば、現在英検4級のレベルがあり、リスニングは得意でリーディングはやや不得意、リーディングの力がつけば3級レベルの実力までもうすぐ、などということが分かります。英検を受けたいけれど、何級を受ければいいか分からないということがなくなり、本番の英検もチャレンジしやすくなるかもしれませんね。

2020年に導入予定だった大学入学共通テストの英語の民間試験は令和6年に延期(予定)になりました。しかしAOや推薦では見られることも多いですし、英検などの民間検定試験は慣れておくに越したことはない状況です。

上記の調査で突出した結果を出している地域では、それなりの働きかけをしています。遅ればせながら、北海道と札幌も重い腰を上げたということで、良い取り組みなのではないでしょうか。

英語学習の環境整備を

やはり全国平均に遠く及ばないという結果は、検定会場が少ないという地理的な面もあるとは思いますが、それ以外にも理由があると考えるべきでしょう。

こちらの記事全国学力テストが変わる!中3の英語はスピーキングもにも書いたのですが、令和元年現在、札幌の公立中学校で採択している英語の教科書は「サンシャイン」で、音声CDがついていません。(デジタル教科書を除く)

リスニングやスピーキングの力をつけるためには、CDと一緒に声を出すシャドーイングやCDを聞いて聞こえた文を書くディクテーションが有効ですが、公立の学校ではそういう家庭学習の課題を出すことはできないのです。

書店などで教科書ガイドCD教科書ガイドCDを購入することはできますが、2,750円と決して安価ではなく、持っていない生徒の方が多いでしょう。おそらく私立でそういう学校はないと思います。

採択する教科書によっては、誰でも音声をダウンロードできるというものもあります。そういう風にするか、副教材として学校でCDを安価に購入できるといいのに…と思います。

誰でも英語教科書の音に触れられること。個人的にはまずはそこから始めて欲しいです。サンシャインは内容はいい教科書だと思いますが、音なしで勉強を進めるのは、楽譜だけで音楽を知るようなもので学習者に優しくありません。デジタル教科書の導入がすぐには無理なら、まずは何らかの音源を皆にいきわたせることを考えて欲しいのですが…。

英検受験の環境差

また札幌の公立中学の英検への取り組みは、学校によって差があります。例えばA中学校は学校が会場となり、通っている学校を通じて年3回英検の申し込みと受験ができるけれども、B中学校は年1回しか団体申し込みが出来ない、などです。おそらく道内を見るともっと英検受験のハードルの高さはまちまちでしょう。

部活動などで忙しい中学生ですから、受験のハードルを下げるためには学校が準会場になってくれるかどうかは重要です。学校や教育委員会にはそういう環境整備をお願いしたいです。

地理的な条件や採択する教科書、学校の英検への取り組みなどは生徒には選べません。そこは身の丈に応じた取り組みを…などと言った大臣もいましたが、そんな大人として無責任な言動は許されるはずがありません。

北海道の子ども達のために、英語学習の環境を整えていくことを道や市の教育行政に期待します。