北海道の公立高校の募集人員は、その地域の中卒者数などを元に決められています。北海道教育委員会の公立高等学校配置計画では、今後数年の公立高校の募集クラスの増減の予定を見ることができます。

志望校選択に当たって、その倍率は重要なポイントの一つですが、倍率に影響を与えることもある募集人員の変動について調べました。

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クラス数は中卒者数等が元に

中卒者の数は減少傾向

まず道内の中学校卒業者の数ですが、令和元年の中卒者数は、44,255人でした。令和2年以降の推計ではこのようになっています。データは、2019年9月発表の北海道教育委員会の公立高等学校配置計画を参照しています。

令和2年:42,571人
令和3年:41,010人
令和4年:41,858人

令和元年のおよそ4万4千人から比べると令和2年、令和3年とそれぞれ1,500人以上減り続けます。令和4年には前年度に比べると848人増加する予定ですが、それでも令和元年の水準には遠く及びません。

このようなデータなどを元に公立高校のクラス増減を決めるのですが、中卒者が減り続ける令和2年、令和3年は増より減が多く、前年度より増える令和4年は、クラス増のみを行う計画となっています。

2020年(令和2年)の募集人員の増減

令和2年度のクラス増

北海道全体としては、空知南(長沼、栗山)、空知北(砂川)、日高(静内、浦河)など14校でクラス増がありますが、石狩学区ではありません。

令和2年度のクラス減

北海道全体としては、24校のクラス減があります。学区は空知南、空知北、石狩、後志、胆振西、渡島、上川南、上川北、オホーツク東、釧路。

石狩学区の学級減の高校は

中でも石狩学区・札幌のの学級減が目立ちます。

まず、平成31年度に入学者が二次募集をしても募集人員に届かず、学級数が1つ自然減となった高校が4つあります。札幌南陵、札幌東豊、野幌、千歳北陽(いずれも普通科)です。これらの高校は、令和2年度も自然減となったクラス数のままを募集学級数とすることになりました。

その他の石狩の令和2年減の高校は次の通りです。いずれも普通科です。

学校名 平成31年度 令和2年度募集人員 学級減数
札幌月寒 320 280 -1
札幌北陵 320 280 -1
札幌手稲 320 280 -1
札幌丘珠 320 280 -1
札幌西陵 320 280 -1
札幌白石 320 280 -1
札幌あすかぜ 320 280 -1
千歳 240 200 -1
北広島西 320 280 -1
恵庭南 240 200 -1
市立札幌清田 280 200 -2

1学級40人。この中には、平成31年度高倍率をつけた人気校も含まれています。例えば、前年の最終倍率を見ると、

札幌月寒 1.5倍
札幌北陵 1.2倍
札幌手稲 1.1倍
札幌白石 1.2倍
千歳   1.1倍
市立札幌清田(普通科・普通) 1.2倍

でした。

近隣の中卒者数を元に募集人員を減らしているとはいえ、学区は石狩全体と広大です。前年度の人気校の定員をバッサリ減らして大丈夫なのかという懸念を持ちます。

特に前年度1.5倍だった月寒と80人定員削減の市立札幌清田の当初倍率と出願変更がどうなるかが心配です。

市立札幌清田は、令和2年度から単位制となる市立高校ですが、普通科は普通コースとグローバルコースの2つに分かれています。

今回のクラス減の対象は普通科・普通コースで、前年度の定員280人が一気に200名という削減です。出願はその学校へ行きたいという気持ちを最優先させるべきと思いますが、クラス減のことは倍率に影響を与える材料として頭に置いておく方がいいと思います。

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2021年(令和3年)の募集人員の増減

令和3年度のクラス増

令和3年度のクラス増は北海道全体で1校だけです。石狩学区の札幌真栄が1クラスの学級増を予定しています。

令和3年度のクラス減

北海道全体としては、14校のクラス減が予定されています。学区は空知北、石狩、胆振西、胆振東、渡島、上川南、オホーツク中、十勝、根室。

石狩学区の学級減の高校は

やはり石狩学区・札幌のの学級減が目立ちます。石狩の令和3年減の高校は次の5校です。いずれも普通科です。

学校名 学科 学級減数
札幌東陵 普通 -1
札幌英藍 普通 -1
江別 普通 -1
北広島 普通 -1
市立札幌藻岩 普通 -2

1学級40人。この年も、北広島、札幌藻岩などの人気校が含まれています。市立札幌藻岩は、前年度から2クラス、80人の定員削減を予定しています。

まとめ

中学卒業者の数が減少傾向の中で、私立高校も授業料実質無償化となる為、地域の公立高校の募集人員を削減する必要は分かります。

しかし、クラスの増減を行う高校の選び方が、実質近隣の中卒者数という観点からとなっていて、人気のバロメーターである前年度の倍率などはあまり考慮されていないのではないかという印象を持ちます。

また増減数の単位が、1クラス40名ずつと大きく微調整ができないというところにも歯痒さを感じます。公立高校の定員はかなり厳格に扱われるので、受検生の事を考えるともっと人気と需要を柔軟に考慮した選び方が出来るといいと思うのですが…。

特に2020年度は、石狩学区での人気校を含むクラス減が目立ち、志望校選びや出願状況への影響が懸念されます。

志望校選択は「自分のやりたい事がその高校でできるか」を大切にすべきと思いますが、材料の一つとして念頭に置いてみてください。

参照:北海道教育委員会 公立高等学校配置計画