2021年の高校入試。15の春、進路を決めるただでさえナーバスなこの時期に、コロナ禍の特殊な事情が合わさり、不安を感じている受検生やその家族が大勢いらっしゃると思います。
今年の高校入試の特殊な部分や注意点を見てみます。
ギリギリまでどうなるか分からない不安
この1年は、受検生にとって感染状況や情報にとにかく振り回されてきた年ではないでしょうか。そして今もいつ状況が変わるか分からないという不安がまとわりついていることでしょう。
札幌の状況を見ると、一時期よりは改善しているようなので私としては少しホッとしました。とはいえ少し前まで、もしかしたら受検の結果を左右するような入試の変更があるのではないかと懸念を覚えていました。
というのも2021年の大学の個別入試において、文科省から出願開始後は変更を控えるよう通知を出されていたにも関わらず、結果を左右するような大きな変更を出願直前に行う大学が多数出ており、大学受験生を悩ませる事態となっていたからです。
2月から本格化する国公私立大の個別入試について、文部科学省は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で試験方法などに変更があった大学をまとめ、同省のホームページ(HP)で公表した。情報は今月15日現在で変更があったのは70大学。ただ、その後も試験中止を公表する大学などが出ており、同省が出願開始後は変更を控えるよう求める通知を出す事態となっている。
引用元:産経新聞相次ぐ大学入試の方法変更 頭抱える受験生
もちろん地震の影響により被害を受けたり交通機関が止まったりした大学受験生へ便宜を測るような入試の変更は必要です。
しかし、本来入試の方法というのは志望校を決めるための大きな要素であり、受験生はそれを比較して吟味し出願先を決めるのであって、出願の時期ギリギリになって変更していいものではないと私は思います。それによって、本来受かるはずだった受験生が落ちるようなこともあるわけですから。
高校に関しても数は少ないですが、急遽入試内容を変更した高校の情報が出ています。
宮城県大崎市の私立古川学園高校は、生徒数人が新型コロナウイルスのPCR検査を受けることになったとして、23日に予定していた一般入試の筆記試験と面接試験を中止した。受験生約890人は、出願時に提出していた調査書などの書類で選考する。22日に中止を決めて中学校などに連絡し、23日に知らずに受験に来た生徒はいなかったという。
引用元:朝日新聞 在校生がコロナ検査、一般入試を中止 宮城・古川学園高
こちらは翌日の試験内容を変更という、本当に急な決定だったようですね。
このニュースを聞いた時に、この理由で入試内容を変更することが一般化すると、北海道はどうなってしまうんだろうと困惑しました。北海道では高校においてクラスターが複数発生しています。それを理由に筆記試験を中止して内申ランクだけで選考するとなると、おそらく結果を大きく左右することになるでしょう。
札幌の私立はもともと内申ランクを重視するところも多いようですが、そうではない私立、そして公立の一般入試がもし在校生の感染を理由に、急遽内申のみで選考ということになったら……と考えると、本来の結果を覆され悔しい思いをする受検生が大勢出るのではとゾッとしました。
幸いなことに北海道の高校は、今の所この動きに追随するような大きな変更はないようです。また感染状況も改善が見られるので、おそらく大丈夫だと思いますが、状況を注視することが必要かもしれません。
北海道の私立の一般入試では、時間割に若干の変更がある高校はあります。昼食時間を無くす為に2科目を1時限にまとめたり、逆にトイレで密になることを防ぐ為に休憩時間を延ばしたりと工夫しているうようです。
面接と下見
昨年2020年度の北海道公立高校入試は、緊急事態宣言下の休校中の入試ということで、一斉の前日の下見や面接が急遽中止となりました。
今年もそうなる可能性は否定できませんから、中学からのお知らせに注意しましょう。ただ北海道の公立高校の面接は、制度上、合否に大きく関係はしないはずですので、もし中止となっても結果にそれほど影響はないと思われます。
北海道公立高校入試範囲の削減について
北海道では、今年は例年より公立高校入試範囲が削減されています。
学習内容の一部を出題範囲から除外する例を挙げると、
数学の「相似な図形」「円周角の定理」「三平方の定理」「標本調査」、英語の「関係代名詞」のうち、主格の that、which、who 及び目的格の that、whichの制限的用法などです。
北海道教育委員会:令和3年度公立高校入試における出題範囲
例年は3年生の終わりの頃に行う「三平方の定理」などの単元は、塾で先取り学習を行なっている人に有利に働くことが多いと言われていた部分ですので、もしかするとこのことは塾なし受検をする人には追い風となるかもしれません。
市立札幌旭丘高校の推薦出願者数は112人
令和3年度の札幌の推薦人気校市立札幌旭丘高校は、推薦標準枠64人のところ112人が出願。過去7年の出願数と比べても、高水準の人数となっています。
過去の推薦出願者数の過去の推移はこのようになっています。
平成 年 | 推薦標準枠 | 受験者数 | 合格者数 |
---|---|---|---|
平成26年 | 64 | 107 | 66 |
平成27年 | 64 | 97 | 66 |
平成28年 | 64 | 108 | 65 |
平成29年 | 64 | 83 | 64 |
平成30年 | 64 | 61 | 61 |
平成31年 | 64 | 79 | 64 |
令和2年 | 64 | 80 | 65 |
2021年は、推薦出願者数112名ということで、標準枠は64名なので、48名あまりが再出願をすることになります。
ここまで大きく標準枠から出願者数がはみ出すことは、ここ数年では珍しいと言えるでしょう。
一般入試への再出願は推薦で受検した高校でもいですし、他の高校でも構いません。再出願後の出願変更の状況の発表は、2021年3月1日(月)ですが、札幌はもしかすると例年より大きい倍率の変化があるかもしれないと感じました。
まとめ
感染状況に落ち着きが見られたことで少し安心しましが、やはりギリギリまで中学校や高校から出されるお知らせには注意が必要です。
ただ今年は、出題内容が削減され絞られたことが、塾へ行っていない人にとって有利に働くかもしれないとも感じています。
ラストスパートの時期ですが、どうぞお身体に気をつけて!