北海道の公立高校は、合格発表後、合格者の数が募集人員に達しないときは、特別の事情がない限り合格者の追加を行います。公立の合格者の数は、私立のように募集定員を上回ることはありません。ですので合格辞退者が出ると募集定員に欠員が生じ、合格者を追加します。追加合格の通知は、高校から直接ではなく、中学校を通じて連絡が来ます。
北海道の公立高校の追加合格は
追加合格の通知の日程
追加合格の通知:2020年3月18日(水) 9:30〜16:30まで
通知の方法
合格者の通知は、高校から中学校長へ、そして中学から合格者へという流れで行われます。追加合格の通知が予定されている上記の時間帯は、中学からいつ連絡があってもいいように電話が取れる状態で待機するといいと思います。
併願先の入学手続き
公立を第一志望、私立を第二志望にしていて、残念ながら合格発表で不合格だった場合、第二志望の私立高校の入学手続きを行うことになりますが、入学金の払い込みなどの手続きは追加合格の通知の期間が過ぎるまで待ちましょう。
北海道の私立高校特に札幌は、公立高校が第一希望の併願の場合、入学手続きが追加合格発表後に設定されているところがほとんどだと思います。(例外もありますので、受検した私立高校の募集要項をご覧ください。)
入学意思のある場合は、追加合格の通知の終了後に余裕を持って入学手続きをするよう、手続き日が設定されている場合が多いのではないでしょうか。このようなスケジュールならば、追加合格の通知を十分待つことができます。
高専との併願は追加合格が受けられない?
私立との併願は追加合格を待つことに何の問題もありませんが、高専との併願の場合は違います。公立との併願でも、追加合格は待てないスケジュールになっている場合があります。
北海道には苫小牧、函館、旭川、釧路工業専門学校の4つの国立高専があります。このうち、函館高専の入学手続きは3月18日までに設定され、完全ではありませんが追加合格を待てるようになっています。
しかし苫小牧、函館、旭川の3高専の併願の志望者は待つことができません。2020年の入学手続き期限は、3月17日(火)15:00。公立の合格発表の当日の午後です。この時間までに入学料を支払い、入学確約書を提出するように指示されます。
それではこれらの3高専を第二志望としている公立の受検者は、追加合格を受けられないのでしょうか?例え入学料を支払った後でも、第一志望の公立から追加合格の通知が来たら、第一志望の高校に行きたいと思うのは当然だと思います。
なぜなら高専の入試は、併願の他に有利な条件で受けられる推薦や専願、4高専複数校志望受検などがあります。その有利な条件を蹴ってあえて併願で公立高校を受検しているのですから、公立を第一志望としているのは明白で、それは高専も中学も分かっている筈です。
しかし、中学の進路指導では、高専の入学手続き後は追加合格は受けられないと、厳しく言い含められるのだそうです。第一志望は公立なので、万が一追加合格がきたらそちらに行きたいと頼んでも、「高専の場合は追加合格は受けられない」の一点張りで通されるのだそうです。
その話を聞いたとき、疑問が浮かびました。ではもし追加合格の通知が来た場合、中学はそれを受検生に伝えずに、受検生の代わりに断るのでしょうか?もし今までそういう運用が当然のようにされて来たのならとても怖いことだと思います。
第一志望の高校は、受検生が高専受検者かどうかなど知りませんから、追加合格になった場合はその通知を中学へ行うでしょう。では中学はそれをどうするのでしょうか?もしかしたら中学によって異なるのかもしれません。その場合、3通りの運用が考えられます。
①中学は追加合格の連絡があったことを受検生に伝えず、受検者の代わりに断る
②追加合格の連絡があったことを受検者に連絡した上で、追加合格を辞退するように強要する
③通常の追加合格のルールに則り、追加合格を受けるかどうかは受検者の判断に委ねる
③ならばいいのですが、①や②なら問題だと言わざるを得ません。公立高校は3年制ですが、高専は5年制。受検生の将来にも大きく関わる選択です。その選択を中学が行っていいのか、ぜひ考えてみて欲しいと思います。この追加合格の問題は、どのような考えのもとにどのような運用がなされているのか、中学と高専に質問してみたいですね。
国立vs公立。学芸大附属の場合
2019年は期せずして、国立の高校である学芸大学附属高校の追加合格による波紋と、公立の日比谷高校の定員割れがクローズアップされることとなりました。私は、この問題は北海道の高専と公立の追加合格の問題とも共通する部分があると考えます。
学芸大学附属高校が入学辞退者の読みを誤り、多くの追加合格を出したことから始まったこの騒動は「公立(国立)高校は辞退できないという暗黙の了解は是か否か」という今まで触れられなかったパンドラの箱を開けてしまいました。
学芸大学附属高校は、昨年までは公立の合格発表を待ってから入学手続きを行うことができたのだそうです。しかし今年からは公立の入学発表前に手続きの締め切りを持ってきました。
予め「辞退はないものと考える」などと受験生を牽制していたにもかかわらず、手続き締め切り後の入学辞退者が多数出て大量の追加合格を出すこととなり、その飛び火が日比谷高校の2次募集へ繋がったという見方が大勢を占めています。
騒動の見解をJ-CASTニュース編集部が聞いたところ、学芸大附属高校からこのような回答があったそうです。
「入学手続きをしていただいた受験生は、転勤等のやむを得ない理由を除いて入学していだけるものと考えておりましたが、ネット上にあるように『入学金だけ出しておけば良い』というような指導が塾等でなされていたとすると残念なことです」(大野弘校長)
引用元:J-CASTニュース日比谷高校「異例の二次募集」の深層 東京受験戦争の裏側を解き明かす
また、「本校が第1志望であるなら、入学を辞退するとは考えておりませんし、本校が第1志望でないなら、入学手続きをしないと考えておりました」という考えも表明していましたが、これらのコメントに異を唱えた文春オンラインの記事があります。
この記事では、学芸大学附属高校に対し、このコメントに対する真意を改めて文書で質問しているのですが、その厳しい質問と追求はさすが文春と感じたので引用します。
学大附属に文書にて質問した。質問内容と得られた回答は以下の通り。
【質問1】御校としては「第2志望なら入学手続きはしないはず」との考えを表明していますが、御校を第1志望としながら不合格になる受験生もたくさんいるはずです。彼らは第2志望あるいは第3志望の学校に進むことになります。御校は、その事実と、御校自身の「第2志望なら入学手続きはしないはず」というスタンスとの整合性をどうとらえているのでしょうか。
【質問2】御校に合格し、速やかに入学手続きをすませ、都立高校受験を見送った受験生の中にも、第1志望の私立高校で不合格になり、第2志望として御校への入学を決めた受験生が一定数いるはずです。私立不合格で御校第2志望の受験生と、都立不合格で御校第2志望の受験生は何が違うのでしょうか。どちらも歓迎されるべきではないでしょうか。
【質問3】塾が御校の合格実績を稼ぐためだけに、わざわざ5万6400円の入学金を支払うよう受験生に指導することは論理的に考えてあり得ません。入学金を支払ったあとに入学を辞退するケースがあるとすれば、それは都立高校が第1志望ではあるものの、そこが不合格であれば第2志望として御校に行きたいと本気で思っている受験生であるはずです。塾が受験生のその気持ちに寄り添い、「安くはない金額ですが、学大附属の入学手続きをしておいて、都立の結果を待ちましょう」とアドバイスすることはそれほど非難されるべきこととは私は思いません。「入学手続きをしていただいた受験生は、転勤等のやむを得ない理由を除いて入学していだけるものと考えておりましたが、ネット上にあるように『入学金だけ出しておけば良い』というような指導が塾等でなされていたとすると残念なことです」という御校のコメントが報道されていますが、具体的に何が「残念」なのでしょうか。その真意を教えてください。
引用元:文春オンライン日比谷高校“まさかの”2次募集 なぜか学芸大附属校長が「不適切表現で反省」のワケ
「公立高校は辞退できない」という不文律はアリなのか
質問に対する学大附属の回答は、気の毒になるほどしどろもどろです。気になる方はぜひ上記の記事でお読みください。
国立vs公立。高専と追加合格の場合
北海道の3高専の追加合格問題に戻りますが、高専側が併願者の入学手続きを公立合格発表当日に持って来るのは、高専側の自由だと思います。選抜のルールは高校や高専側にあり、受検生がそのルールに従うのはある程度は仕方がありません。
しかし、併願者が第一志望に合格した場合、第二志望ではなくそちらへ入学することを決定するのは、受検生に与えられた数少ない権利なのではないでしょうか。それが追加合格であったとしても、それは変わらないと思うのですが。
追加合格を許さないと受検生に言い含めるというのは、高専側が中学に伝えていることなのでしょうか。それとも忖度した中学がそういう運用をしているだけなのでしょうか。
色々疑問は湧きますが、私は追加合格を待てない日程に敢えて設定するなら、そのリスクは受検生ではなく高専側が負うべきだと思います。
おそらく人数にしたら非常に小さなケースだと思います。それを見越して合格者数を出すことが不可能だとは思えませんし、それが出来ないなら、函館高専や他の私立のように追加合格を待てるように入学締め切りを設定すればいいと思うのですが…。
いずれにせよ、公立高校から来た追加合格の通知を、高専受検生だからと言って、中学が受検生に知らせずもみ消すようなことはないと信じたいです。
高専(国立)の併願者の追加合格についてはこちらの記事もどうぞ。
日比谷高校の定員割れで浮かび上がる公立辞退と追加合格。北海道の場合