北海道公立高校入試で2009年から導入されていた学校裁量問題ですが、2022年度高校入試から廃止され、一般入試の全教科で同じ問題が課されることに決まったという発表がありました。

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2022年度学校裁量問題が廃止へ

道教委が2019年6月21日に発表した「公立高校入試の改善基本方針」によると、令和4年度(2022年度)より学校裁量問題を取りやめるということです。この方針が採用されるのは、令和元年に中学1年生となった学年からとなります。

道教委は21日、道立高校入試の改善基本方針を発表した。学力検査は2022年度(令和4年度)から学校裁量問題を取りやめ、配点を100点満点、解答時間を50分に変える。インフルエンザにかかった場合の追試験を21年度から行う。

引用元:室蘭民報社学校裁量問題取りやめ

公立高校一般入試の変更

北海道公立高校の一般入試に関わる変更は以下のようになります。

2021年度から

・インフルエンザなどの場合を対象に、別日、別問題の追試を実施

2022年度から

・学校裁量問題廃止
・一般入試の各教科の配点が60点→100点満点に。
・試験時間は45分→50分に。

この変更は新学習指導要領の趣旨を踏まえたもので、全教科で基礎的・基本的な知識と技能、思考力、判断力、表現力を問うものをバランスよく出題するということです。

定時制で自己推薦による選抜を実施

・定時制課程で各学校の裁量で自己推薦による推薦入試を行えるようにする

公立高校入試の改善となるか

私はかねてから、北海道公立高校入試の形は過去数十年大枠が変わらずにいることに疑問を感じており、これからの時代に合わせて改革すべきだと思っているのですが、個人的に改善が必要と思うところには全く触れられておらず、学校裁量問題廃止という方向へ行ってしまったということで納得がいかない思いを抱えています。

学校裁量問題について

まず現在導入されている学校裁量問題ですが、これは一般入試5教科のうち国語・数学・英語の問題の一部をある程度難しい問題にするという制度です。すべての学校が採用しているわけではなく、標準問題を採用している学校もあります。

学校裁量問題導入されたのは、それ以前に行われていた全ての生徒が同じ問題を受ける入試では難易度が高い問題を出すことができず、上位層ではほとんど点数に差がつかなかったという理由が挙げられます。差がつかない入試問題では1つのケアレスミスが合否に直結することとなり、瑣末なミスにこだわる本当の実力が測れない入試になってしまうというデメリットがありました。

これを防ぐために導入されたのが2009年から採用された学校裁量問題だったのですが、今回の「改善」方針でまた元に戻ることとなってしまわないのでしょうか。改善すべきことは他にあるような気がしてなりません。

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インフルエンザなどの場合の救済

2021年度からインフルエンザなどの場合追試が行われるということですが、インフルエンザが流行する季節柄、受検生にとっては有難いと言えるでしょう。ただ、難易度が全く同等の追試を作成するのは難しいだろうということは考えられます。

時間と点数の変更

試験時間は45分→50分に、各教科の配点が60点→100点満点に変更となるそうですが、こちらは問題と内申点の運用次第で変わるものであり、これだけを見てどう考えていいのかはなんとも言えません。

というのは、北海道の公立高校入試が長年にわたり採用している「相関表」を使った合否判定では、満点の点数が何点でも全く関係ないからです。現在採用されている、定員の70%を相関表を使用して学力5:内申5の割合で判断するという判定方法では、満点が60点でも100点でも何も変わりません。

学力検査の各教科が100点満点になって5教科500点、内申点が今のまま315点を満点として、それを加点して合否の判断をするというのなら別です。もし相関表をやめて加点方式になるならかなり大きな変化となるでしょう。全国的に見ると加点方式を採用している自治体はかなり多いです。しかし報道を見る限り合否判定方法が変わるという記述はないので、おそらく相関表は譲れない…ということなのでしょう。

改善点を探るとしたらこの相関表方式や、内申点の扱い、30%しかない学校の裁量の割合、推薦と一般入試の倍率の乖離についてなど課題が山積みだと思うのですが。

令和元年中学1年生は、新学習指導要領の節目の学年ですね。過去の入試やカリキュラムからの変更が多く大変だと思いますが、新しい時代に即した教育を受けることができる学年でもあると思います。情報を味方にして、学校生活を楽しんでください。

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