2022(令和4)年度北海道高校入試はここに注意!
3月1日発表の再出願後の出願状況(一般入試の最終倍率)
2022(令和4)年度の高校入試は、新学習指導要領の元で行われる初めての高校入試。今年の受検生は実質中学3年生の1年間しか新しい指導要領の教科書で学んでいないにも関わらず、昨年の受検生より大幅に拡がった試験範囲と向き合わなければなりません。
昨年は休校などの影響を考慮して、試験範囲がかなり絞られた入試でした。
(参考までに昨年の記事です)
2021年度北海道高校入試はここに注意!直前の変更への不安
そこから2022年の受検を考えると振り幅が大きさに驚きます。北海道の高校入試も裁量問題がなくなり、全員が同一の問題を解くことになるなど、大きな変更点があります。大学の共通テストもそうですが、過去問が使えない試験というのは、受検生には大きな負担です。
2020年以降の休校をはじめとしたイレギュラー続きの中学校生活を考えると、現受検生の負担の大きさと、受けてきた授業の質と量が見合わないのではないかと危惧してしまいますが、受験シーズンに入った今「受検生同士は皆条件が同じ」そう思って受検に取り組んでいくしかないのかもしれません。
この記事では、2022(令和4)年度の北海道高校入試の注意点をまとめてみます。(長くなったので3つに分けて更新していく予定です。)
【シリーズ】2022年度北海道高校入試はここに注意!
①学力検査の変更(この記事です)
②市立札幌旭丘と札幌大通の変更の影響は
③イレギュラーへの対応
学力検査はどう変わる?
裁量問題がなくなった
2022(令和4)年度より裁量問題がなくなりました。昨年までは問題の一部を基礎的な問題を中心とした標準問題と、発展的な裁量問題の2種類にしており、高校の裁量でどちらかを採用していました。
今年は裁量問題がなくなり、北海道の公立高校受検生は全員が同一の問題を解くことになります。
そもそも裁量問題ができるまでは、全員が同一の問題を解いていました。その後裁量問題が出来て、今回また無くなったことになります。今年久しぶりに同一問題での受検を経験する受検生は、「どうして裁量問題が出来たか」ということを理解しておくといいかもしれません。
以前、同一の基礎的な問題を全公立受検生が解いていた頃は、点数の差が生まれにくく、ケアレスミスのような小さな1点の差が合否を分けることがありました。そこでそれを防ぐために、ケアレスミスではなく受検生の実力で差が生まれるように発展的な「裁量問題」が出来た、という経緯があったようです。
今年それがなくなったということは、再び小さなミスが合否を分けるような入試になる可能性も…。しかし、当然そうならないように問題作成も工夫されるでしょうから、受検生の実力の差が表れるような問題になる可能性もあります。
2022年からはどんな問題になるのか
実際、道教委サイトの「令和4年度道立高校入試の変更点について」の記載には、
一般入学者選抜の学力検査において、全ての生徒に同一の問題を課し、全ての教科で、基礎的・基本的な知識及び技能と、思考力・判断力・表現力等をバランスよく出題することとします。
引用元: 北海道教育委員会「令和4年度道立高校入試の変更点について」
とあります。裁量問題がなくなったことで問題が簡単になるというよりは、基本を問われる問題プラス、前提として読解力が必要な、思考力・判断力・表現力を問われる問題が出題される、と考えた方が良さそうです。
またこのリーフレットと同じ場所、道教委サイト高等学校入学者選抜情報「令和4年度以降入学者選抜」
北海道教育委員会サイト「高等学校入学者選抜情報」にある「思考力・判断力・表現力等をみる問題の例」や「学力検査における解答用紙の様式(サンプル)」を見ると、読解力を試される問題が取り上げられていますし、解答用紙がA3判になる事も併せて、解答の記述欄もかなり大きくなっています。
問題をじっくり読むこと、そして解答欄の大きさに怯まずに思考して記述することが合否を分けるかもしれません。
英語について
英作文の練習をしておこう
上記の英語の解答用紙サンプルには、英作文用とと思われる解答欄があり、30語の部分が太字になっています。30語程度の英作文の練習をしておくといいかもしれません。
「塾に通っていなくて練習の仕方が分からない」という場合は、英検3級の英作文を参考にしてみてはいかがでしょうか。語数や難易度的に近いと思われ、過去問や模範解答は英検のサイトでも見ることが出来ます。英作文は、苦手意識を持つ人もいますが、コツを覚えれば得点源になり得る分野です。
英語の聞き取りテスト
英語の聞き取りテストに変更点があります。
まず配点ですが、昨年度までは英語のテスト全体の25%が聞き取りテストでしたが、30~35%程度へと比重が増加します。 また、英文はこれまで全ての問題で2回読まれていたものを、2回読まれる問題と1回読まれる問題を出題することになりました。リスニングの対策が以前よりも重要になっています。
その他
これは以前と変わらないのですが、北海道の公立高校入試問題の特徴として、北方領土に関する問題が出題されます。島の名前と位置など、基本的なことを復習しておきましょう。
主な変更点について
全ての生徒が同一の問題となること以外の主な変更点は次の通りです。
画像出典:北海道教育委員会 リーフレット「令和4年度道立高校入試の変更点について」
●検査時間:解答に要する時間は、各教科とも50分(以前は45分)
●配点:各教科100点、計500点満点 (以前は 各教科60点、計300点満点)
●英語の聞き取りテスト:配点は、英語のテスト全体の30~35%程度に。(以前は全体の25%)
また、英文はこれまで全ての問題で2回読まれていたものを、2回読まれる問題と1回読まれる問題に。
●解答用紙:A3判 (以前はB4判)
●各高等学校の裁量による面接等:現行の「面接・実技・作文」から「作文」を
除く。
そのほか、定時制の自己推薦入学者選抜の導入が主な変更点となっています。
配点と時間の変更
見かけの配点は変わったが制度は変わらず
配点は、各教科100点、計500点満点 (以前は 各教科60点、計300点満点)となっていますが、内申点との比重は以前と変わりません。募集人員の70%程度は個人調査書の「各教科の評定」の記録と学力検査の成績を同等につまり50%ずつの比重で扱われます。残りの15%程度は個人調査書の内容などを重視、15%程度は学力検査の成績を重視して入学者を決定します。
つまり、学力検査の満点が少し変わっただけで、入試制度的には何一つ変わっていません。もう何十年もです。おそらく内申ランクの重視度は全国的に北海道はトップクラスです。これは管理する側にとっては良い制度ですが、生徒側からするとどうなんでしょうか?
検査時間と時間割
学力検査の解答に要する時間は、各教科とも50分(以前は45分)となりました。
時間割は以下のようになっています。
学力検査は国語から始まり、数学、社会、お昼の休憩を挟んで、理科、英語という順で行われます。時間割は次の通り。
第1部 国語 9:20〜10:15
第2部 数学 10:35〜11:30
第3部 社会 11:50〜12:45
第4部 理科 13:35〜14:30
第5部 英語 14:50〜15:45
解答に要する時間は各50分間ですが、検査時間の冒頭5分間で受検者に対する注意、問題用紙などの配布を行います。
北海道公立高校の一般入試の学力検査日は、
令和4年(2022年)3月3日(木)
なお、出席停止の扱いが定められている感染症により受検できない場合など、やむを得ない事情がある場合には追検査を受検することができます。その場合の出願は期限が短く設定されているので、前日や当日の朝に具合が悪い場合はすぐに在籍中学校に相談しましょう。
追検査は令和4年(2022年)3月14日(月)。時間割は同じです。
受検の流れはこちら
合格発表は以下の通りです。
合格発表日:令和4年(2022年)3月16日(水)
一旦始まると止まれない受験シーズン。本格的に忙しくなる前に変更点を頭に入れておきましょう。
応援しています。
参照:北海道教育委員会