2019年北海道公立高校入試の推薦内定者数が発表になりましたので、推薦の倍率と、個人的に気になったことがあったので、まとめてみました。(出願者数と倍率のデータは2019年度のものです)
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1倍を超えた推薦倍率の高校は
石狩学区で1倍を超えた学校はそれほど多くありません。推薦人気校とも言える、それらの学校の推薦入試の倍率は以下のようになります。
学校名 | 学科名 | 推薦標準枠 | 推薦出願者数 | 推薦倍率 |
---|---|---|---|---|
札幌国際情報 | 普通 | 24 | 42 | 1.8 |
札幌国際情報 | 国際文化 | 40 | 43 | 1.1 |
北広島 | 普通 | 64 | 72 | 1.1 |
札幌東商業 | 国際経済 | 40 | 44 | 1.1 |
札幌旭丘 | 普通 | 64 | 79 | 1.2 |
札幌平岸 | デザインアート | 20 | 22 | 1.1 |
札幌新川 | 普通 | 64 | 74 | 1.2 |
(参照:北海道新聞 公立高入試 推薦・連携型内定者数)
上記の学校の推薦内定者数は、推薦標準枠と同数になりました。残念ながら内定が出なかった場合は、一般入試に再出願することができます。
推薦入試の方法は面接が一般的で、自己アピール文の提出も多く見られます。推薦を実施する高校の中には、面接の他にも独自の選抜方法で内定者を選んでいる高校もあります。
札幌国際情報(国際文化)・千歳(国際教養)は英語による問答、札幌旭丘は英語の聞き取りテストと適性検査。札幌清田は適性検査に加え普通科で英語の聞き取りテスト、グローバルでは英語の聞き取りテストと英語による問答を採用しています。
市立札幌大通と石狩翔陽は作文を採用しています。また、札幌平岸(デザインアート)と恵庭南(体育)は、それぞれ実技試験があります。
札幌市立高校は積極的に独自の推薦選抜を採用している印象が強いです。しかし石狩学区の道立高校ではこのような面接や自己アピール文以外のテストを設けている学校は少ないのが現状です。
募集人数に満たない推薦出願者数
これ以外の石狩学区の推薦入試を行った多くの学校の推薦出願者数は、募集人員の推薦枠に届いていません。つまり倍率としては1倍に届きません。ちなみに2019年の北海道の全日制の推薦枠は9219人。それに対し出願者は4384人にとどまっています。
これはなぜなんでしょう?1倍に届いていない学校なら、一般も含めた全体の出願者数も少ないのでは?と思うかもしれませんが、そうとも言えません。例えば札幌啓成の理数は、全体の募集人員が40名に対して出願者の合計は64名。倍率は1.6倍です。そして一般出願者数は、60名。(2/13の発表)
そのうち推薦標準枠は20名。それに対し、推薦出願者数はわずか4名です。何が言いたいかというと、決して人気がないから推薦枠が埋まらない訳ではないということです。それだけ推薦基準を満たすことが難しいということなんでしょうか。
ふんわりした「推薦の要件」
ここでまた1つ疑問が出てきます。それでは北海道高校入試の推薦基準というのはなんなんでしょう?
道教委のサイト、高等学校入学者選抜情報のページでは各高校の出している普通科の推薦の要件というものを見ることができます。
北海道教育委員会:高等学校入学者選抜情報
例えば、札幌啓成の普通科(理数科はわかりませんでした)の推薦の要件を引用すると以下のようになっています。
次のすべてを満たす生徒
1 学習と部活動などに自主的・意欲的に取り組み、忍耐強くがんばる生徒
2 礼儀正しく、何事にも責任ある行動をとる生徒
3 大学進学等の進路目標や、将来の夢に向かって継続的に努力する生徒
なるほど、素晴らしいですね。でもなんだかすごくふんわりしていると思いませんか?
この学校だけではありません。その他の学校の要件もすべて、素晴らしいんだけれども具体性に欠ける、ふんわりした生徒の理想像みたいなものが並んでいます。ある意味どうとでも取れるこの要件だけを参考に、推薦希望者から実際に推薦する生徒を絞り込むのはすごく難しそうだと思いませんか?
実際の推薦基準はわからない
しかし、実際の推薦入試みると、おそらく実際の推薦希望者からはかなり絞り込んだ出願人数となっています。これは一体どうやって絞り込んでいるんでしょう?公表されているふんわりした推薦の要件以外に、例えば具体的な内申ランクなどの公表されない基準が高校から中学に示されているのか、それとも中学が独自の基準を設けて生徒を選抜しているのか。上記の要件以外に公表されている基準がないので、実際のところは私たちには分かりません。
実際の推薦の基準を決めているのは果たして高校なのか、中学なのか。もし中学だとしたら、学校間で基準が異なるでしょうし、それは平等な選抜だと言えるのか?
私は首都圏から引っ越してきたのですが、北海道のこの推薦制度を見て驚きました。というのも、このような推薦のやり方は、選抜を中学に丸投げしているということや、その基準がブラックボックス化しているということなどで批判を浴びて、今ではあまり見られない方法になりつつあるという認識があったからです。
まだ推薦を行なっている地域も、推薦されれば事実上合格ということはなく、それプラス厳しい高校での選抜を経ないと合格できない狭き門となっていて、中学の推薦さえもらえば1倍に満たない倍率で入学できるという方法をとっているところは首都圏にはないですし、全国的にも少なくなってきているという認識でいました。
しかし、現に目の前にしっかり残っている訳ですね。北海道へ転入してきてがっかりしたことというのはほとんどないのですが、高校入試制度については…申し訳ないですが、かなりがっかりでした。
1倍に満たない場合は全員合格?
では、1倍に満たない学校の推薦出願者は全員合格しているのでしょうか。2019年の内定者数を見ると、1倍に満たない学校の多くが出願者=内定数となっていますが、出願者数より内定者数が減っている学校がいくつかあるのであげてみます。
学校名 | 学科名 | 推薦標準枠 | 推薦出願者数 | 推薦内定者数 |
---|---|---|---|---|
札幌啓成 | 理数 | 20 | 4 | 3 |
札幌北陵 | 普通 | 64 | 23 | 22 |
札幌国際情報 | グローバルビジネス | 60 | 53 | 52 |
大麻 | 普通 | 56 | 42 | 41 |
千歳 | 普通 | 48 | 46 | 42 |
恵庭南 | 体育 | 40 | 35 | 31 |
(参照:2019年2月19日発表の推薦内定者数)
1倍以下なら絶対に内定というわけではない、ということがわかりました。中学の推薦を受けても、高校が推薦出願者に求める基準に達していないとみなし、内定が出ないこともあるようです。高校による選抜も機能しているようですね。しかしかなり数は少ないですし、多くの1倍に満たない学校で、出願者=内定数となっているのも否めません。
その2に続きます。
最新の公立推薦入試についてはこちらをどうぞ。
北海道公立高校の推薦を徹底解説。推薦入試のスケジュール2020【保存版】