一部の高校以外はフリーパスの推薦

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推薦の出願者数=合格内定者数に非常に近いのが、北海道の推薦の特徴だということを以前の記事で書きました。北海道の推薦入学は、一部の学校を除き校長の推薦を受けられた時点でほぼフリーパスになっているのが現状のようです。(例外はありますが)

石狩・札幌で、例年まとまった人数の不合格者が出るのは、札幌旭丘札幌国際情報、あとはここ数年推薦受検者数が増えた札幌新川くらいです。
推薦の倍率は前の記事をご覧ください。

札幌、石狩の推薦入試の倍率とデータを見て思うこと。その1:推薦の要件ってなんだろう

札幌旭丘高校の推薦倍率が減少?

中でも札幌旭丘高校は、例年推薦出願者数が比較的多く、面接や自己アピール文で選考する他校と違い、適性検査と英語の聞き取りテストで推薦内定者を選抜するということで、他県でいう特色化選抜に一番近い形態なのかと感じていました。

人気校ゆえに推薦の受検者数も多く、落ちた場合は再び一般入試でチャレンジする人も多く、一般入試の倍率が当初よりさらに上がるというパターンだったのが、ここ数年様子が変わって来ています。下の平成26年〜31年までの受検者数推移の表をご覧ください。

市立札幌旭丘高校の推薦受験者数の推移

平成 年 推薦標準枠 受験者数 合格者数
平成26年 64 107 66
平成27年 64 97 66
平成28年 64 108 65
平成29年 64 83 64
平成30年 64 61 61
平成31年 64 79 64

それまで100名くらいだった推薦の受検者数が、平成29年に突然減っています。そして平成30年の受験者数は61名。倍率は1倍を下回り、推薦受験者の全員が合格しています。平成31年も受検者数は79名と抑えられ、推薦倍率が1.2倍となっていますが、出願者が100名を超えていた頃とは明らかに様子が変わっています。

一般を含めた全体の受検者数が減った訳ではありません。おそらくですが、ガクッと推薦受検者数が減少した平成29年に、推薦出願者を絞る何らかの調整力が働いたのでしょう。どんな調整なのかは私たちには分かりません。何も公表されませんから。

ただ、受検者数が多かった頃は、推薦で落ちて一般で再出願しても、また残念な結果になってしまう受検生もいるという話を聞いたことがあります。そういうことを避けるために北海道の推薦入試の倍率は、1倍に近くなるように受検者数を調整しようとする力が働いているのでしょうか?

当日競争をさせまいとするのが、北海道の高校入試

私は北海道の高校入試の特徴は、当日の競争を嫌い、倍率を1倍に近づけよう、近づけようと中学が子供達をコントロールしていくことだと思っています。それは一見親切なように見えますが、実際はそうではありません。じわじわと3年間、中学生活において選抜を進められていくというのは、生徒にとっては息苦しいものです。また、よく分からない基準で選ばれる推薦は一般受検者にモヤモヤした気持ちを残しますし、よく分からない原因である年から突然推薦基準が厳しくなるのも、当事者にとってはただの理不尽です。

高校入試の大きな割合を占める内申書や、一旦手にすれば学力検査のないフリーパスに近いとんでもない威力を持った推薦は、言い方は悪いですが中学校が子供を管理するための影響力を維持するからくりだと思っています。

中学3年間に渡って、子供をアルファベットで細かくランク付けする内申書。そして事実上ほぼ全て中学に委任されている推薦。それらを中学校が担うことで子供を縛るやり方が、教育上いいはずありません。

「なんでこんな制度が残っているんだろう、こんなんでよく苦情が来ないな」というのが、北海道へ来てこの制度を目の当たりにした私の感想でした。

あまりにも不公平な推薦制度

北海道の制度はあまりにも推薦が優遇されすぎています。というのは…

①1回しか受験機会のない北海道の高校入試ですが、推薦出願者だけが2回の受験機会を与えられています。一般出願者は推薦内定者で減った募集人員の枠を争わなければなりません。

②また推薦入試はほんの一部の高校以外に学力検査の類いは課されません。普通科のほとんどは内申と面接、事前に自己アピール文を提出、あっても作文くらいです。

一般入試と推薦入試の倍率の差が大きすぎます。一部の高校を除き、例え一般入試が高倍率でも推薦はほぼフリーパスというところが多いです。

推薦入学者の基準が曖昧でよく分かりません。ふんわりとした理想像のような推薦の要件を元に中学が推薦者を選びますが、どのような基準で選んでいるのかは私たちには見えず、完全にブラックボックスです。

「推薦なんてそんな物だろ」と思うのは、多分北海道と、その他ほんの少数のフリーパス的な校長推薦が残っている県の住人だけでしょう。あまりに一般入試との不公平が過ぎる、また中学校に選抜を担わせることの子どもへの教育上の悪影響が大きいということで、全国的に見るとこの制度はほとんど過去の遺物になっています。

北海道の推薦制度が一般入試と比べてあまりにも不公平だということは、高校や教育委員会といった当事者も気づいているのではないでしょうか?札幌東西南北、月寒、平岸の普通科といった人気校は推薦入試を行なっていませんが、それは高校による選抜の権利を行使しているようにも見えますし、不公平を認識しているからのようにも見えます。

推薦の問題点は、また別記事でも取り上げたいと思います。

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