2024年1月26日、令和6年度北海道公立高等学校の入学者選抜の1回目の出願状況が発表されました。こちらは24日の入学願書締め切りを受けての当初の集計です。石狩学区の公立高校の倍率を見て行きます。
2024年石狩全体の出願者数
北海道教育委員会1/26発表の当初出願状況によりますと、北海道・石狩の公立高校の出願者数と倍率は次のようになっています。
石狩の道立高校・全日制:募集人員9,480人に対し、一般出願者数が 8,538人、推薦出願者数が2,051人。出願者数合計が10,589人。倍率は昨年と同じ1.1倍。
札幌市立高校・全日制:募集人員 1,680人に対し、一般出願者数が1,480人、推薦出願者数が782人。出願者数合計が2,262人。倍率は昨年と同じ1.3倍。
定時制については、石狩の道立高校・定時制の倍率は昨年より0.1ポイント上がって0.4倍。札幌市立大通は昨年と同じ1.4倍となっています。
昨年度に推薦入試が自己推薦になったことで、推薦入試の志願者が大幅に増えました。今年度は昨年度うよりさらに増加しています。志望校が推薦入試を採用していれば、2回受検のチャンスがある推薦に出願者が増えることは当然ですよね。
今回発表されている当初倍率は推薦と一般を合わせた全体の倍率なので、推薦入試採用校の実際の受検の倍率とは異なると考えた方が適切なのかも知れません。推薦の倍率も、一般入試の倍率も当初の倍率とは違うものとなるでしょう。
●2024年度の推薦入試の出願状況と倍率の記事はこちら。
2024年石狩・札幌の公立高校推薦入試の出願状況と倍率は?
石狩・札幌の状況
2024年1月26日現在、東西南北と、倍率1.3倍を超えた札幌市内の公立高校と学科名を以下の表にまとめてみました。
学校名 | 学科名 | 募集人員 | 出願者合計 | 倍率 |
---|---|---|---|---|
札幌東 | 普通 | 320 | 445 | 1.4 |
札幌西 | 普通 | 320 | 510 | 1.6 |
札幌南 | 普通 | 320 | 421 | 1.3 |
札幌北 | 普通 | 320 | 434 | 1.4 |
札幌月寒 | 普通 | 320 | 451 | 1.4 |
札幌北陵 | 普通 | 320 | 437 | 1.4 |
札幌白石 | 普通 | 280 | 410 | 1.5 |
札幌平岡 | 普通 | 240 | 327 | 1.4 |
札幌国際情報 | 普通 | 80 | 113 | 1.4 | 理数工学 | 40 | 61 | 1.5 |
石狩南 | 普通 | 280 | 357 | 1.3 |
札幌啓成 | 理数 | 40 | 62 | 1.6 |
恵庭南 | 体育 | 80 | 117 | 1.5 |
札幌東商業 | 流通経済 | 80 | 113 | 1.4 | 国際経済 | 80 | 116 | 1.5 |
千歳 | 国際流通 | 80 | 116 | 1.5 |
石狩翔陽 | 総合 | 320 | 403 | 1.3 |
札幌厚別 | 総合 | 280 | 354 | 1.3 |
市立札幌旭丘 | 普通 | 240 | 351 | 1.5 |
市立札幌平岸 | 普通 | 280 | 443 | 1.6 | デザインアート | 40 | 59 | 1.5 |
市立札幌清田 | 普通 | 200 | 270 | 1.4 | グローバル | 40 | 50 | 1.3 |
市立札幌新川 | 普通 | 320 | 411 | 1.3 |
市立札幌啓北商業 | 未来商学 | 240 | 311 | 1.3 |
※2024年1月26日発表の当初倍率
※札幌旭丘より下は札幌市(市立)高等学校です。
この倍率は、当初の出願を受けて、各高校の学科の「出願数合計」を「募集人員」で割ったものです。つまり、推薦と一般入試を合わせた倍率となります。一般入試の倍率は、「一般出願者数」を「募集人員から推薦合格者数を引いた人数」で割って出さねばならず、また推薦人気校では推薦不合格者が一般入試に再出願することへの考慮も必要です。
つまり推薦入試を実施する高校の一般入試の実際の倍率は、変化する可能性が高く、自己推薦となって推薦志願者が増加した今年度からは、人気校の倍率の変化はより顕著になることも考えられます。(四捨五入マジックにより同じに見える時もあります。)
北海道公立高校の倍率はなぜ何度も発表?理由と日程、データの読み方
トップ校の倍率は
今年の札幌東西南北の倍率は、札幌西が1.6倍、札幌東と札幌北は1.4倍、札幌南は1.3倍となっています。
最高倍率は1.6倍
石狩の全日制の当初の最高倍率は、札幌啓成の理数と札幌西の1.6倍となっています。昨年2.1倍という高倍率だった札幌啓成の理数科は若干の落ち着きを見せています。
札幌国際情報の倍率とその他の倍率上昇校
札幌国際情報は4学科の倍率は、普通科が1.4倍、国際文化が1.2倍、理数工学が1.5倍、グローバルビジネスは1.0倍です。グローバルビジネスの倍率が落ち着いた印象です。
関連しているか分かりませんが、札幌東商業の流通経済が1.4倍、国際経済1.5倍と上昇。
その他、総合学科の石狩翔陽と札幌厚別が1.3倍となっています。
恵庭南の体育科は1.5倍。昨年より0.7ポイント上昇しています。
札幌市立高校
札幌市立高校が人気
札幌市立高校の人気は引き続き高いようです。
市立札幌旭丘普通のが1.5倍。市立札幌平岸の普通が1.6倍、デザインアートが1.5倍。市立札幌清田の普通が1.4倍、グローバルが1.3倍。市立札幌新川が1.3倍。市立札幌啓北商業が1.3倍
1.3倍以上の学科が7つあります。普通科でも単位制などで学びを工夫している高校が多いことも人気に影響しているのかもしれません。
この倍率は推薦出願者数の多さも影響しているでしょう。推薦枠を大幅に超えている学校が多いので、推薦不合格者も多く出そうです。推薦内定後の再出願後の倍率にも注意が必要です。
市立札幌旭丘について
市立札幌旭丘高校は、以前は普通科のみ(募集人員320名)の高校でしたが、2022年度からは普通科(募集人員240名)と数理データサイエンス科(募集人員80名)の2つの学科を持つ高校と変わりました。
普通科
もともと非常に人気の高い普通科の高校であった市立札幌旭丘。2つの学科に分かれることで、それまで普通科の定員が320名から80名減って、240名になりました。これにより変更初年の普通科志望の受検生は、厳しい受検を覚悟するか志望校を他へ変更するかの選択を迫られたことでしょう。
結果変更当初の年の普通科の出願者数は大幅減となりましたが、その後戻してきています。昨年の当初倍率は1.7倍。今年は1.5倍です。
推薦入試の出願者数の変遷は以下のとおり。
一昨年の普通科の推薦入試は、推薦標準枠48名のところ推薦出願者数62名。
昨年の普通科の推薦入試は、推薦標準枠48名のところ推薦出願者数141名。
そして今年は、推薦標準枠48名のところ推薦出願者数110名です。
昨年の自己推薦化に伴い推薦出願者が大幅に増加。今年は若干の落ち着きを見せていますが、高い水準です。
数理データサイエンス科
創設3年目の数理データサイエンス科は、募集人員80名のところ出願者が76名。一般と推薦を合わせた当初倍率は1.0倍。
数理データサイエンス科の推薦入試は、推薦標準枠は24名のところ推薦出願者数36名。
石狩の定時制について
石狩の道立の定時制の倍率は、昨年より0.1ポイント上がって0.4倍。人気の札幌市立の定時制、市立札幌大通の倍率は高くなっています。
市立札幌大通の普通科は、午前・午後・夜間がありますが、推薦と一般を合わせた倍率は、以下のようになっています。
学校名 | 学科名 | 募集人員 | 出願者合計 | 倍率 |
---|---|---|---|---|
市立札幌大通 | 普通(午前) | 110 | 175 | 1.6 |
普通(午後) | 90 | 159 | 1.8 | 普通(夜間) | 90 | 64 | 0.7 |
午前の倍率が1.6倍、午後が1.8倍、夜間が0.7倍となっており、全体で1.4倍です。
道内の定時制のほとんどが定員割れしている中、突出して高い倍率です。
夜間との倍率差を見ても分かるように、日中に通える定時制高校が少ないため、午前と午後部のニーズが高いのでしょう。
なお市立札幌大通の出願者数は、一般入試に比べて推薦出願者が大幅に多くなっています。
普通(午前)は、一般出願者66名に対し、推薦出願者数は109名。
普通(午後)は、一般出願者50名に対し、推薦出願者数は109名。
自己推薦になったことで、2回受検のチャンスがある推薦に出願者が増えることは当然です。推薦で不合格になってももう一回受検のチャンスがあり、市立札幌大通のように複数のコースがある場合はスライド合格も考えられます。
1回目のチャンスは自分の本当に行きたい高校へ出願し、不合格だった場合は再考して2回目のチャンスを生かす。それが自己推薦の特徴です。
まとめ
今年は推薦入試が学校推薦から自己推薦に変わって2年目。
それ以前までの推薦入試はまず中学校での推薦というハードルがあったため、一部の人気校を除き、推薦出願者数は推薦枠内におさまるケースの方が多い状態でした。
昨年からは自己推薦となったため、推薦出願者数が推薦枠を超える高校が多数出ています。
学校推薦の時より多くの推薦不合格者が出ることになり、推薦内定発表後の再出願を行う受検生が増加することになるでしょう。
再出願後の出願状況の発表(3/1)に注目です。
又、石狩の出願状況を見ると、いわゆる人気校の倍率は更に高くなる一方、1倍程度あるいは定員割れという高校も多いという状況が見られます。
令和2年からの私立高校授業料の実質無償化の実施以来、公立優位と言われる北海道でも何が何でも公立高校を…という方針ではない家庭も増えているのではと思います。
本当にそこで学びたいと思える憧れの公立高校を受験したい。そういう気持ちを私立無償化の制度が後押ししている実態はあるでしょう。
北海道の高校受検制度では高校が工夫できる範囲が狭く個性が出にくいという特徴があります。そのため内申ランクで縦割りされた上位の高校に人気が集まり易いという側面があると思います。
戻りつつあるものの過去数年部活動や大会も制限を受け、それまで以上に内申ランク以外の高校の個性や魅力が見えにくくなっています。ランクでアピールできず、個性の見えにくい普通科の高校の苦戦が倍率に表れているように感じます。
トップ校でなくても、個性が見える高校は人気が集まっています。札幌国際情報や札幌啓成の理数、市立札幌平岸は普通科もデザインアートも人気です。市立札幌大通の昼間に通えるコースの人気も、他の高校にない個性が魅力となっているのでしょう。
一部の内申ランク上位、または個性が際立つ高校だけが高倍率という状況が続けば公立高校から私立へ受検生がどんどん流出していくのではと懸念しています。
今後の出願変更などは
これが最終的な倍率ではありません。この当初倍率を見て、短い期間ですが出願を変更をすることができます。
一般入試の出願変更期間は、2024年1月29日~2月2日となっています。希望する人は在籍する中学校を通じて出願を変更します。
途中、2024年1月31日には出願変更状況の中間発表があります。
2024年北海道公立高出願変更の中間状況は?出願変更は2/2まで
推薦入学面接日は、2024年2月13日。
出願変更後の出願状況がわかるのは、2024年2月14日。
推薦入試の合格内定者数の発表は2月20日。そして推薦に合格できなかった人のために2024年2月21日~2月26日の日程で、一般入試への再出願期間が設けられています。
その結果を受けて最終的な再出願後の出願状況がわかるのは2024年3月1日です。
道教委のサイトや新聞で、貴重な現在の出願状況の情報が期間限定で掲載されていきますので、参考までにチェックするといいと思います。
しかし数字にとらわれて一喜一憂せず、あくまでも受検に向けて自分の状態を整えてけるといいですね。先行き不透明な部分が多く、受検生と保護者の皆さんは気を揉んでいると思います。どうか皆さんが健康にラストスパートを乗り切れますように!
参照:
北海道教育委員会 高等学校入学者選抜情報 令和6年度(2024年度)公立高等学校入学者選抜【出願状況】
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