秋は札幌の小学校の発表会の季節

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札幌のほとんどの小学校には発表会があります。大体は秋、11月頃に行われますが、小学生のお子さんがいる家庭では、ハレの舞台を楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。そしてその大々的な取り組みに転校生は驚いてしまうかも。

この発表会、表現学習発表会とか、学習発表会とか学校によって呼び方は異なるようですが、学年ごとに表現的な発表をする会、昔でいう学芸会的な位置づけのもののようです。舞台の上で子どもたちが様々な表現活動を行います。

劇の中に器楽やダンスがある楽しいオペレッタを見る機会が多いですが、運動系の出し物やダンス、朗読劇風のものなど工夫を凝らしたものもあるようです。

初めてのときは驚いた!

さて、内地から転校してきて初めて札幌で発表会を経験したとき、正直申し上げてとても驚きました。いやあすごかった!何に驚いたかというと、次のようなことにです。

●オーデションがすごい
●やたら皆楽しみにしている
●子どもだけはなく保護者もやたら楽しみにしている
●そして子ども達の演技がやたらうまい!
●時間のかけ方がハンパない

多分生粋の札幌人にとってはどれも当然のことのように感じているのだと思いますが、私がかつて住んでいた地域ではどれも全く違う状況だったので(比較のため後述します)最初はとにかくびっくりしました。いろんな意味でこれが札幌なんだな…という洗礼を受けたと言っても過言ではないインパクトのある行事でした。

ちなみに全ての札幌の小学校がこのように取り組んでいるとは限りません。あくまでウチが経験した感じですが、もし代表的な演目である劇をやるとこんな感じ…というのを順を追って見てみましょう。

オーデションがすごい

秋になると発表会の季節。どんな出し物をするのか、子どもたちはすでにそわそわと楽しみにしています。先生から演目が発表され劇をやることが決まりました。どんな話か、そしてどんな役があるかを教えてもらい、自分は何をやりたいかをワクワクしながら考えます。台本や楽譜をこの段階でもらう場合も。

役はお話の登場人物だけとは限らず、楽器を弾いたり、踊りを踊ったり歌を歌ったりする場合もあります。

子どもたちはそれぞれやりたい役や楽器を心に決めて、オーディションを受けます。予め「この役はこのセリフを」とオーディション用の台本をもらっているので、家で練習してその日に臨みます。希望者が多数で残念ながら落選した場合には、別の役に回ります。そこでもまた選抜がある場合もあり、役決めに半日くらいかかることもざらです。

やたら演技が上手い

子供も親も親戚もやたら皆発表会を楽しみにしているので、先生方の演技指導の熱も半端ないです。熱血指導の元、家族の応援を受けて子供たちも一生懸命なので、完成度がやたら高い!というか、北海道の子達ってなんでこんなに演技がうまいの!?と初めて見たときはびっくりでした。

毎年のように熱血指導を受けて劇をやって来た積み重ねの結果なのでしょうか。子供たちの表現力がとにかくすごいと思いましたし、物怖じしない堂々たる態度が更にいいと感じました。道民はこれを誇っていいと思います!

保護者もやたら楽しみにしている

そして保護者がやたら楽しみにしていて、大人数で見学に来るのも驚きでした。小さい赤ちゃんから祖父母まで、舞台に上がる小学生1人につき何人もの数の親族が観に来ていて、伝統的に地域ぐるみで楽しみにしている行事だということをひしひしと感じました。

時間のかけ方がハンパない

発表会に割く時間が非常にふんだんであることも驚きでした。オーデションに半日を使い、練習も連日熱心に行い、児童だけで観劇する日が1日では収まらず平日に2日間。保護者公開日が休日に1日、そして休日公開日の代休が平日丸1日。

この時間のかけ方だけ見ても、発表会にかける情熱が伝わって来ます。

以前住んでいた地域は今思うと淡白だった…

北海道の方は、発表会に時間をたっぷりとって、学年で劇やオペレッタをやるということは当たり前と感じるのかもしれませんが、私が昔住んでいた地区の発表会は、音楽主体のスクールコンサートのような位置付けで演奏時間も短く、今思うと本当にサラッとした行事でした。

それはそれで普段の音楽の授業の成果を見るという感じで良かったのですが、子供たちの劇を観ることが出来たのは、事実上幼稚園や保育園まででした。指導や役決めに時間がかかる劇は小学校では難しいのかと思っていましたが、ここでは出来るんですね。

以前は合唱や合奏オンリーで雰囲気も硬派だったのですが、北海道へ転校してからの発表会は色々な演目があり楽しくて見応えたっぷりでした。

また、転校前は保護者公開日もなく平日1日だけの発表会で、保護者は児童の後ろの方で見学する形式でした。休日ではないので当然代休もありません。

そんな感じでしたから保護者も1人か多くて2人の見学で、音楽主体のせいか未就園児を連れて行くことも禁止でした。北海道でそんな通達があったら暴動が起きそうですね(笑)

その地域に住んでいた頃は「とにかく授業時間を確保するために行事に割く時間は減らしたい」という学校の思惑を常に感じていたので、北海道の行事や総合学習にふんだんに時間を使うやり方はとても新鮮でした。

なんというか、重点を置くポイントがそれぞれ違っていて、どちらをいいと感じるかは人それぞれなのでしょう。ただうちの子達は北海道のやり方がとても気に入っていたようです。

今後は変わっていくのかも?

北海道でも今後は新学習指導要領の開始により、従来の科目に加えて英語やプログラミングなどの授業時間を確保しなければならなくなり、今までのようにふんだんに行事に時間を割くことが出来なくなる可能性があります。

近くの小学校でも運動会の時間が短縮されているという声が聞こえて来ます。古き良きという印象が強い北海道の地域ぐるみの行事の取り組みですが、今後は変化せざるを得ないかもしれません。伝統的に楽しみにしている子供や保護者も多いので、落とし所をうまく探して欲しいですね。