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4月より北海道でも日本脳炎が定期接種化

北海道では日本脳炎のワクチンが、今までは定期接種ではありませんでした。そのあたりは、以前の記事で書いたので、よろしければこちらをご覧ください。

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北海道は日本脳炎の注射がない?
どうなる?北海道の日本脳炎ワクチン。

北海道では、2015年度まで、日本脳炎を媒介するコガタアカイエカが生息していないとされていることなどを理由に、知事が北海道内全域を「日本脳炎の予防接種を行う必要がない区域」として指定していました。

北海道で日本脳炎の定期接種が行われていないのは、一時的な措置ではなく、もうずっと以前からです。ですから、根っからの道産子で日本脳炎ワクチンを接種しているという人は、老若男女かかわらず、とても少数派だろうと推測されます。

定期接種を望む声があった

しかし、これだけ人の移動が頻繁に行われ、国内、海外を問わず移動が激しくなった時代に、北海道だけ感染の心配がないというのは時代にそぐわないのではないか、北海道の子どもが、修学旅行や就職で本州にへ行くことは一般的なことになっている、などの意見があり、近年議論がされてきました。

温暖化の影響で、今まで生息していないとされていた種類の蚊も移動してくるかもしれません。また、それまで定期接種として日本脳炎ワクチンを接種してきた子を持つ人が転勤等で北海道へやってきた時に、北海道だけ違うということでびっくりしてしまうという実情もありました。

定期接種ではないということは、他の都道府県では無料の日本脳炎ワクチンが有料となる、ということです。一期・二期と長い期間をかけて複数回打たなくてはならない日本脳炎の予防接種なのですが、途中で本州から北海道へ引越してきたために、宙ぶらりんの状態になってしまう子どもたちが一定数いることも事実だと思います。そういう子どもを持つ親たちが、今まで無料だった日本脳炎ワクチンを自費で打つという選択をせまられ、なぜ北海道だけ…と思うのも無理もないかなと想像できます。

そういう声の後押しがあり、いろいろ議論や意見がありつつも今年2016年4月1日から区域指定をやめ、北海道でも日本脳炎を定期接種として実施することとなりました。



定期接種の反対意見もある

望む声があったのは事実だと思いますし、ワクチンを定期接種とすることで恩恵を受ける団体の経済的な事情などもいろいろあるのだと思います。ただし、反対の声も根強くあったことは、子どもにこれからワクチンを打つ北海道のお父さん・お母さんには是非知っておいて欲しいとも思います。

日本脳炎という病気は、北海道において40年以上発症例の報告がない病気です。そんなこの地域でかかる可能性が極めて低い病気に対して、年間11億円超ともいわれる交付税を使って定期接種とする必要があるのか、という意見がまずあります。

反対の立場を表明するワクチントーク北海道では、日本脳炎ワクチン定期接種化をすすめる窓口である北海道保健福祉課に対して、日本脳炎ワクチンの区域指定継続を求める道民約35,000名分の署名を持参し、日本脳炎ワクチンの区域指定継続を求める要請を行っていました。その後導入が決定されてからも、再検討と副反応の周知を求める要望書を提出しています。

同団体の荻原代表は「副反応が起きることをもっと認識すべきだ」と要望。道の渋谷文代・地域保健課長は「(予防接種実施主体の)市町村に対し、道民に丁寧に説明するよう求める」と話した。

毎日新聞:日本脳炎定期接種化で道に要望書 市民団体「再検討を」 /北海道より引用

参照:ConsumerNet.Jp 道民35,243人の署名で反対した日本脳炎ワクチン定期接種化の決定に抗議~ワクチントーク北海道が再度要請書と質問書を提出

重篤な副反応ADEM(急性散在性脳脊髄炎)

そしてもうひとつ、こちらの記事でも書いたのですが、この日本脳炎というワクチンは、この10年ほどだけの経過を見ても、いろいろ考えされられる出来事があり、内地(本州)のお母さんたちを翻弄してきた過去があります。当時内地に住んでいた私も正直翻弄され、他のお母さんと「日本脳炎どうする?」と何度も話題になった記憶があります。

2005年、マウス脳由来の以前のワクチンにより、重篤な副反応であるADEM(急性散在性脳脊髄炎)を引き起こす可能性があると判断され、日本脳炎ワクチンは本州でも勧奨を外れて、事実上の接種中止の状態となりました。

その後、安全とされる乾燥細胞培養ワクチンが承認され、2010年から積極的勧奨が再開されたのですが、その新型日本脳炎ワクチンになってから、ワクチン接種後のお子さんの死亡例が報告されたり、ADEM(急性散在性脳脊髄炎)の報告例も依然としてあり、資料を見るとむしろ増えているようにも見えるということが判明したりと、新型は安全という報告を真に受けて子どもの接種を再開していた当時の私としては、かなり衝撃を受けました。子どもにワクチンを打つ判断をする親として、よく調べて考えることの必要性を痛感した出来事でした。

これからワクチンが定期接種となる北海道のお父さん・お母さんも、是非いろいろな資料や意見を自分の目で見て、考えていただきたいと思います。経緯と副反応の資料についてはこちらの厚生労働省の資料が参考になると思います。

厚生労働省
「日本脳炎の予防接種に関する現状について」

「日本脳炎の予防接種死亡例について」

「脳炎・脳症の例(19事例)の調査報告について」 (平成22年7月から平成24年5月までの脳炎・脳症の19事例の資料です。)

「日本脳炎ワクチンの副反応報告状況について」 (平成24年11月1日から平成25年1月31日報告分までの資料です。)

積極的勧奨の差し控えの時期は(平成17年5月~22年3月)なので、その後の副反応の事例は、勧奨再開の後の乾燥細胞培養ワクチンでの事例となります。

参照:厚生労働省ホームページ
第8回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会日本脳炎に関する小委員会及び平成24年度第6回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会 資料

病気のリスクとワクチンの副反応のリスク

ワクチンには、副反応というリスクがあります。それが分かってなおワクチンを打つことのメリットというのは何でしょうか?病気のリスクの方が、ワクチンの副反応のリスクより高いと判断される場合、多少リスクをとってもワクチンを打つメリットはあると思います。

では、北海道において、日本脳炎という病気のリスクとワクチンの副反応のリスクと天秤にかけるとどうなるでしょう?過去40年発症例のない病気に対して、ワクチンの重篤な副反応例の数やリスクの方が大きいと思うのは私だけでしょうか?

もちろん、それは個々で判断されるべきものです。今後もこの地域で暮らす人と、西日本やアジアへ移動する予定の人とでは、リスクの大きさが変わってきます。各々の事情を鑑みて、ワクチンや副反応についてよく調べて、ひとりひとりが判断するしかありません。

自治体のお知らせでは

わたしの住んでいる札幌市の公式ホームページでは、日本脳炎について平成28年4月1日(金曜日)から、北海道においても日本脳炎ワクチンが定期の予防接種となる予定ということは記載されていますが、詳細についてはまだアップされていません。(1/7執筆時点)

北海道の自治体では恵庭市のホームページが、詳しく日本脳炎の定期接種について記載してくれています。

恵庭市ホームページ

日本脳炎ワクチンの標準的な接種期間は

1期接種:初回接種については3歳~4歳の期間に6~28日までの間隔をおいて2回、追加接種については2回目の接種を行ってから概ね1年を経過した時期に1回の接種を行います。
2期接種:9歳~10歳までの期間に1回の接種を行います。

厚生労働省公式サイトより引用
となっていますが、これから突然定期接種となる北海道においては、この期間を過ぎて接種していない人が当然たくさんいると思います。そういう場合は特例措置が設けられるようですが、詳しくはこれからお住まいの自治体のサイトや広報で周知されることとなるようです。

ワクチンについて納得できる判断するためにも、自治体にはしっかりとした情報の周知を心から望みます。よく調べて納得し、個々の事情にあった判断をしたいですね。