長引く休校。外にも出れず、家で課題をやるしかない子ども達。オンライン教育も進んでいるように見えず…。そんな中、9月入学への議論が活発になって来ました。

9月入学が一つの大きな選択肢に

9月入学・秋入学がにわかに脚光を浴びています。

安倍首相や萩生田文部科学大臣も、この機会に9月入学へ舵を切ることは、一つの選択肢であるという認識を示しました。

いくつかの自治体の長もかなり前向きな発言が見られますし、少し前から教育関係者や学生から出ていたこの案が、現実味を帯びて来ました。

実際に9月入学を早急に実施するとなると混乱も予想され、慎重な意見もありますが、今は既に混乱の真っ最中なわけで…。

私の個人的な意見としては、9月入学賛成です。この記事では、その理由と提案をいくつか挙げていきたいと思います。

2020年度を空白の1年にしないために

うちの子どもの一人は高校生になりましたが、簡素化された入学式を含めてたった数日間高校へ行っただけで、あとはずっと家にいます。

出された課題やレポートをやってはいますが、授業に変わるようなオンライン教育はなく、学習効果は…どうでしょう?よく分かりません。

なお、高校生になったという自覚もあまり持てていないようです。登校数日では無理もないですよね。

おそらく今年度は、これから学校が再開したとしても、第3波、第4波と感染流行の波が来る度に断続的に休校や自粛が必要となることが予想されます。受けられる学校教育の質・量ともに、例年と比べて圧倒的に少なくなることは避けられないでしょう。

このままでは2020年度が中身がスカスカの「空白の1年」になってしまうと危機感を抱いています。

中学3年生、高校3年生など最終学年の抱える問題はもっとずっと大きいですよね。3年間の集大成として目標にして来たインターハイなどの大会の中止で、心が折れそうな人もいるでしょう。

そして高校3年生にとっては、よりによって大学入試改革の年。授業や模試もろくに受けられない中、迎えなければならない受験への不安とストレスは計り知れません。最終学年を取り巻く状況を考えると、本当に何もかもがこのままじゃあんまりです

それを少しでも軽減するなら、今年度の終わりを来年の8月末まで遅らせ、感染拡大や縮小の様子を見ながら、それに合わせた対策(学校の再開、分散登校、休校、オンライン授業など)を取っていくしかないと思うのです。

今年度を1年5ヶ月間に延長することで、断続的に休校や分散登校があったとしても、賞味1年分くらいの教育内容を児童・生徒・学生に提供していくことを目指すのはどうでしょうか。

9月まで休校ではなく約1年半をフル活用する

今年の9月までをずっと休校にして準備に充て、9月から学校を開始にするという案もあるようです。私は個人的には、それには反対です。先のことは分からず、冬に近づくにつれまた感染が拡大し、再休校になるかもしれないという懸念があるからです。

今年度を9月から再スタートとして、結局冬にまた休校を繰り返してスカスカな1年になるより、4月から次の年の9月までの1年5ヶ月という期間をうまく活用して、様子を見ながら授業や活動を行う方がいいのではないかと思います。出来る時に出来ることをというやり方です。

もし夏に状況が落ち着くのであれば、夏休みに授業などを行うのも一つの選択肢だと思います。敵は見えないし、全く先が読めない相手なので、こちらもその隙を突くようなフレキシブルに対応が求められるのではないでしょうか。

つまり夏休みまでをずっと休校にして今年度から9月入学、というのではなく、来年度からの実施を望みます。

今の学年はどうなるの?生徒たちの不安

このニュースが耳に入った時、うちの子は心配そうに言いました。

「今の学年が9月生まれから分かれるってことはないよね!?」

私は

「いくら何でも、今ある学年を生まれ月で分割することはないと思うよ。これから就学とか就園する子はどこで区切るかまだ分からないけど…」

と答えながら、子どもたちはこういうことで不安になってしまうんだな、と感じました。

今ある学年を分解するようなことはないですよね?ただでさえいろんなものに翻弄されている今の子どもたちに是非配慮をいただきたいです。

そこは柔軟に考えて、今ある学年に関しては生年月日のくくりはそのままで、始まりだけを秋にずらしてあげてほしいと思います。そのあたりは制度の工夫でどうにでもなることなのですから、まずは子供たちの実態を優先してあげて欲しい!

今、子どもも自分たちに関係するニュースに敏感になり、不安を感じています。9月入学の議論は今後活発になっていくことが予想されますが、早めに「今ある学年はそのままだから心配いりません」というメッセージがあると、子どもたちにとって安心材料になると思います。親が言っても説得力がないようなので、発言力のある方が是非、お願いします!

学年の区切りの生年月日はどうなる

9月入学に舵を切った場合、小学校または幼稚園などに新入学をする子どもたちは、学年の生年月日のくくりの変更を免れないかもしれません。そうなると、切り替えの年だけ就学人数が大幅に増えてしまうという声があるようですね。一気に就学人数が増え、4割増になってしまうという声があります。

現在の学年の区切りは、4月2日から翌年4月1日生まれ となっています。
9月入学になると、現行の考え方だと、9月2日から翌年9月1日生まれが同学年となりますが、以降の年だけ4月2日から翌年9月1日生まれが就学することになるという心配なのでしょう。

しかしそれも制度の工夫次第でどうにかなるのではないでしょうか

数年間に分けて、学年の区切りとなる生年月日をひと月づつずらしていけばいいという案があります。
例えばですが、
切り替えの年は年は4月2日から翌年5月1日まで
翌年は5月2日から翌年6月1日まで
その翌年は6月2日から翌年7月1日まで
その翌年は7月2日から翌年8月1日まで
その翌年は8月2日から翌年9月1日までという具合に…。

そうすれば毎年ひと月分の就学人数の増加で収まり、6年目には「9月2日から翌年9月1日生まれのの子どもたちが9月に入学する」という状態へ、なだらかに移行出来ます。

早生まれは入学年を選べばいい

またそれと同時に、是非検討していただきたいことがあります。早生まれのことです。

例えば4月から8月生まれくらいに当たるのお子さんは、就学する年を希望すれば1年待てるような柔軟な制度にしたらいいのではないでしょうか。もし選べるなら、1年待ちたい。そういう選択をする家庭は相当数あると思います。

日本は今まで、ほぼ例外なく、就学年齢を生年月日で管理してきました。しかし海外の例を見ると、早生まれなどの場合、その子の育ちや事情を考慮して家庭が入学する年を選べる地域もあります。私は常々、日本もそうなればいいのに…と思ってきました。

月齢の差というのは、年齢が進めば差はなくなっていきますが、就園・就学年齢では、まだ残っている場合もかなりあるでしょう。

小さく生まれたお子さんならなおさらです。低体重で生まれた、または早生まれで少し心配、そのほかいろいろな理由で就学を1年遅らせたい、そういうニーズは今までもあった筈です。しかし生まれ年と生まれた日で、日本の学年は自動的に決まってしまいます。

誕生日をベースに学年を決めれば、そりゃ管理する側としては管理しやすいでしょう。日本の学校制度は、そうやってずっと管理する人の目線で管理しやすい学校を作ってきました。

でもそれによって、個々の事情が考慮されないという弊害が、ずっと黙殺されてきたのではないでしょうか。この機会に、個人の事情や育ちをベースに学年を決めてもいい、そんなルールにするのはどうでしょう。

生まれ月だけではなく、その他の事情も考慮できるといいですね。今は確かにピンチですが、色々なケースに対して柔軟に対応する学校制度に変えていく、大きなチャンスなのかもしれません。

そうなると、スポーツの大会などの年齢制限に引っかかり出れない子が出てくるなどという声もあるようですが、今ある制度やルールが絶対ではありません。

ぜひ現行の制度に子どもたちを合わせるのではなく、この緊急事態下の子どもたちの現状をなんとかするために、時代に合わせて制度の方を柔軟に対応させることを考えて欲しいと思います。

奨学金について

もし9月入学に変わるとしたら、配慮していただきたいことがもう一つあります。奨学金のことです。

今の状況で、経済的に困っている大学生の声がたくさん聞こえてきます。バイトがなくなった、家賃は止められない、授業料の請求書は普通に送られてくる、帰省もできない。この国の大学生は、バイトをして、奨学金を借りてやっと学んでいる人がどんなに多いことか、改めて現状が浮き彫りになっています。

もし9月入学に舵を切った場合、多くの学生が利用しているJASSOの奨学金は、どうなるのでしょうか。大学は8月卒業になったけれど奨学金は従来通り3月まで、などということになったら、混乱は必至です。どうかその場合は、どうか奨学金も卒業の月まで延長してください。

国の高等教育の就学支援制度に、9月入学になった場合の柔軟な対応を望みます。これ以上大学生を苦境に落とさないよう、お願いいたします。

まとめ

課題はいくつも出てくるでしょうが、大枠として9月入学にはこの状況を打開するメリットが大きいと思います。というか現状、このままではどうにもならない所まで教育は追い詰められています。

決めるなら、昨年の大学入試制度の混乱の轍を踏まないように、どうか早めのご判断を。そして柔軟に対応していくことが望まれます。決定には生みの苦しみが伴うでしょうが、何もしないで子どもたちの大事な学年を「失われた一年」にするよりはずっといいはずです。

決定した場合、教育現場だけではなく社会の変容も求められます。就活など、企業の対応の協力も必須です。出来ない理由を探すことが多い日本の政治や社会ですが、今は何が出来るか、どう変われるか、そういう考え方が必要な時なのでしょう。

本当に大変な年になってしまいましたね。大勢の知恵を寄せ集めて、ピンチをチャンスに変えられますように。