注射
前の記事:北海道は日本脳炎の注射がない?

現在、北海道では日本脳炎ワクチンは定期接種の対象にはなっていません。

しかし、いろいろな意見があるようなので定かではありませんが、もしかしたら北海道でも早ければ来年度、定期予防接種の対象となるかもしれません。

もしそうなった時に慌てない為に、道産子の皆さんも日本脳炎ワクチンについて少し調べてみることをおすすめします。

というのも、このワクチン、ここ10年程だけを見てもいろいろな経緯があり、内地のお母さん方を悩ませて来たからです。

Sow Experience

ちなみに私は医療関係には疎く、ワクチン行政にも詳しくありません。

ただ、子どもがワクチンを接種するときに情報を調べ、リスクを天秤にかけ、保護者の欄にサインをするだけの立場です。
ですからこの文は、この10年日本脳炎ワクチンに悩み、翻弄されてきたただの一保護者目線の話なので、ほんの参考程度に読み流してくださいね。

さて、昔は有無を言わさず義務として打たれてきた予防接種ですが、1994年の予防接種法改正により、すべての予防接種は「義務」から「勧奨(努力義務)」に変わりました。

これによって、病気のリスクと副反応のリスクを天秤にかけ、個人個人でで接種するかどうか判断しなければならなくなり、自分のことならともかく子どもの接種をどうしようか、と保護者の立場の方なら悩んだ経験があるのではないかと思います。

北海道以外の地域では「定期接種」となっている日本脳炎ワクチンですが、実は勧奨を外れて事実上中止になっていた時期があります。

平成17年(2005)から平成22年(2010)の時期です。

ですから、この期間は内地の子どもたちも日本脳炎ワクチンの接種を控えた人が大勢いました。

以前の日本脳炎ワクチンというのは、マウスの脳でウイルスを増殖させ、精製、不活化させたマウス脳由来のワクチンを使用していました。

しかしこのワクチンを接種後に、中枢神経に炎症が起きるADEM(急性散在性脳脊髄炎)という重篤な副反応の事例が発生し、理論上マウスの脳を使用することによりADEMを引き起こす可能性があると判断されたため、積極的勧奨が差し控えられたのです。

日本脳炎ワクチンの重篤な副反応としては、まれではあるそうですが、ADEMの他にも、アナフィラキシー様症状、痙攣(けいれん)、脳炎・脳症などが挙げられています。

その後、マウス脳由来のワクチンではない、副作用を軽減したとされる乾燥細胞培養ワクチンが承認され、2009年に新型日本脳炎ワクチンが発売されました。

そして、2010年から、再び日本脳炎ワクチンの積極的勧奨が再開されています。

それにより、またワクチン接種者数が増えたのですが、その新型日本脳炎ワクチンを接種後のお子さんの死亡例が、2012年に2例報告されています。

お子さんの病気の予防を思って受けた接種の日を境にお子さんを亡くされるということが、どれだけ無念なことか、ご家族とお子様のことを思うと言葉もありません。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

その後、厚生省小委員会では、この2例をめぐって、
「予防接種による影響が不明または関連性は低く、リスクが高まったわけではない」との見解を示しています。
しかし同時に、マウス脳由来ではない改良された新ワクチンにも、11例のADEMの報告があることが明らかになったそうです。

この記事を書くにあたって、
北海道のホームページにある、「平成26年度における日本脳炎予防接種のあり方 および今後の日本脳炎予防接種のあり方について」という資料と、
厚生労働省「日本脳炎の予防接種に関する現状について」
という資料を参照させて頂きました。

この日本脳炎ワクチンですが、北海道でも勧奨を検討しているようです。

私自身は、子どもの頃、悩む余地もなく義務として接種を受けた世代です。
ですが、これから対象となる方は、病気のリスクと副反応のリスク、移動の可能性(特に西日本やアジアの農村部)などを考慮して個人個人で判断しなければならず、悩ましいところですね。

北海道ではここ40年以上患者が発生しておらず自然に感染するリスクは非常に少ないとはいえ、蚊も温暖化の影響などで移動する可能性もあり、これからもそうとは限りません。
人から人への感染はない病気ですが、北海道の人が感染の可能性のある地域への渡航するケースは沢山あると思われます。

個々のケースで情報を集めてリスクを天秤にかけ判断すること、また将来のことを考え、情報を子どもと共有することが必要となりそうですね。

北海道も日本脳炎ワクチンが2016年4月より定期接種へ につづく