2019年1月25日、北海道公立高等学校の入学者選抜の1回目の出願状況の発表を受けて、個人的に感じたことをまとめてみました。

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こちらの記事で1.4倍以上の高校をピックアップしてみました。

2019年北海道公立高等学校の1回目出願状況が発表!札幌の倍率は?


ピックアップした高倍率校と、昨年からの倍率の推移を見ると、今の受検生が何を求めているのかを知る手がかりになりそうな気がします。数字を見て以下のようなことを感じました。

トップ校人気は変わらず

まず、札幌におけるトップ校の人気は変わらないということです。内申が良く高偏差値の受験生は、東西南北を目指すということですね。旧帝大への合格実績も群を抜いていますし、北海道のみならず全国に目を向けて学びたい大学を目指すには、トップ校合格が近道と考えるのは理にかなっています。

また北海道の場合、大学名よりも高校名でブランドを測るような面も否めませんので、人気が衰えることはあまり考えられないでしょう。

トップ校の倍率の変化

気になるのがトップ校の倍率の変化です。

札幌東:昨年の当初倍率1.6倍から今年1.8倍に。
札幌西:昨年の当初倍率1.6倍から今年1.7倍に。
札幌南:昨年の当初倍率1.5倍から今年1.4倍に。
札幌北:昨年の当初倍率1.2倍から今年1.3倍に。

ちなみに市立旭丘は昨年の当初倍率1.4倍から今年1.5倍になっています。

札幌南が0.1ポイント下がった他は、昨年より上がっています。これらの高校の定員は変わっていないので、トップ校にチャレンジする受検生が増加しているということになりますが、これはどういう理由からでしょうか?

チャレンジ志向が高まっている

1つは「悔いを残さず憧れの高校を受けたい」というチャレンジ志向が高まっているという理由が考えられます。大事な高校時代を左右することですし、チャレンジして残る悔いは一時でも、チャレンジせずに残る悔いは一生モノだとも言われます。行きたい学校を受験したいと思うのは、受検生として当然のことですよね。公立高校は一校しか受けられませんので、どうしても公立に…というのでなければ、可能性に賭けるのも一つの選択です。

受け皿として私立が機能している

合否がボーダーライン上の場合やチャレンジ校受検をする場合は、第2希望、第3希望の私立を予め選び受検する人がほとんどでしょう。北海道は公立優位ですが、魅力のある私立も沢山あります。成績優秀者や内申ランクにより、私立独自の奨学金や学費免除制度を設けているところも多く、第2希望の受け皿として私立がしっかり機能してきていることもチャレンジができる理由になりそうです。

内申ランクのインフレ

もう1つ気になる理由として、内申ランクのインフレも考えられます。北海道は内申のランクを上位からABC〜Mまでに区切るという独自の方法を取っていますが、内申ランクが年々インフレを起こしているというデータがあるそうです。Aランクは過去10年で人数構成比が5%ほど上がり、逆にFランク以下は減って来ているといいます。

A・Bランクを持っている受検生はトップ校受検を考えたくなると思いますから、このトップ校の倍率増加は、そういう理由もあるのかもしれません。もしこれが本当に当てはまるのならば、内申ランクのボーダーラインが上がることも考えられます。Bランクを持っていても当日点次第では…ということも考えられます。

定員割れしているところもある

高い倍率をつけている学校がある一方、定員割れしている学校も見られます。普通科で当初倍率1倍を切ったのは、札幌丘珠0.8倍、札幌南陵0.7倍、札幌東豊0.8倍、札幌あすかぜ0.9倍、札幌白陵0.9倍、野幌0.8倍、大麻0.9倍、千歳北陽0.8倍、北広島西0.8倍、当別0.8倍、恵庭南0.9倍です。

人気が集中するところがあれば、定員が割れるところもある。これが石狩の普通科の現状です。そして石狩の普通科の平均倍率は1.1倍となっています。

倍率が伸びている学校

トップ校以外の倍率が上がっているところを見ると、特色ある学校、学科であったり、バランスの良い学校であったり、今の受検生の求めているものがなんとなく見えてくるような気がします。いくつかピックアップして見ます。

札幌国際情報高校

今回2.0倍というトップ倍率になったのは、札幌国際情報の普通科ですが、この高校は毛色の異なる4つの学科が集合した学校です。伝統校と比べるとまだ歴史の浅い学校ですが、その分新しいことにもどんどんチャレンジしてここまで人気を伸ばして来たという印象があります。

理数工学科、グローバルビジネス科が今の名前や体制になったのは割と最近ですが、しっかり認知されて倍率にも反映されている感じがします。ここの吹奏楽部は、ダンプレというパフォーマンス重視の楽しい演奏をすることで有名ですが、昔は普通に座って演奏していたんだそうです。新しいことをどんどん取り入れて変わっていく様子は、伝統校にはない強みなのかもしれません。

ちなみに国際文化科は、昨年の当初倍率1.8倍から1.1倍となりました。ただこの学科は、普通科の第2志望として出願することができるので、見かけ通りの倍率となるかはちょっとわかりません。市立清田のグローバルにも言えるのですが、国際方面の学科の人気に落ち着きが見られます。

市立札幌新川高校

市立札幌新川高校は、昨年の当初倍率1.4倍から1.7倍と大きく伸びています。中堅上位グループで、部活動も進学も頑張れる非常にバランスの良い学校の印象があります。また札幌の市立高校は、今年は定員割れが一つもなく、全体的に人気があると言えるでしょう。新川は推薦入試もあり、推薦と一般合わせた募集人員は320名です。

推薦標準枠64名に対して推薦出願者数は74名です。また一般出願者数は463名です。推薦で10名が落ちて一般入試に流れるとすると、一般の募集人員320名-推薦枠64名=256名という枠を、一般出願者数463名+推薦から流れる10名の473名で争わないといけません。もちろん机上の計算通りにいかない場合もあるでしょうが、仮にこの計算でいくと、一般入試の倍率は、473÷256=1.8倍を超えます。かなりの高倍率ですね。

このように倍率とは、本来は推薦と一般を別々に考えなくてはいけないものです。また、推薦をもらえればかなり有利になることは否めませんが、人気校は推薦をもらっても安泰ではないということも事実です。

そして、高倍率なおかつ推薦がある学校を一般入試で受ける場合、倍率には注意が必要です。推薦のある人気校の一般入試は、上記の計算のように発表される倍率より高くなることがあることを念頭に置きましょう。

札幌英藍高校

札幌英藍高校は、2013年に札幌篠路高校を母体に札幌拓北高校を統合して設立された高校です。昨年の当初倍率1.2倍から1.4倍と倍率を伸ばしました。札幌市北区では初めての全日制普通科単位制を採用している高校です。通常の普通科より多様な学びができるということが今の受検生の心を掴んだのかもしれません。

札幌厚別高校

札幌厚別高校は、平成25年度から人文系列、数理系列、音楽系列、美術系列の4つの系列を持つ全日制総合学科となった、札幌では唯一の総合学科の学校です。(石狩には石狩翔陽があります。)

倍率は昨年の当初倍率1.4倍から1.5倍に。厚別は、平成29年度までは募集人員320名だったのですが、平成30年より280名と定員減になりました。そのため2年連続で高倍率となりましたが、時を同じくして、軽音楽部が賞をとるなど在校生の活躍により、学校そのものの人気が上がって来たことも原因かもしれません。伸び盛りの学校という印象があります。特に芸術方面へ進みたい公立高校志望の人に良い選択肢となっています。 

札幌東商業高校

札幌東商業は、進学も就職も可能で資格取得にも力を入れているということで、就職を視野に入れた受検生のニーズに応えています。流通経済は昨年の当初倍率1.0倍から1.6倍、国際経済は昨年の当初倍率1.3倍から1.4倍となりました。

大きく倍率を伸ばした流通経済は、マーケティング分野の科目「マーケティング」「商品開発」「広告と販売促進」を中心に学ぶ学科です。

伸びている高校を見ると

トップ校以外の高倍率校を見ると、独自のカラーをはっきり打ち出している学校が多いと感じます。歴史の浅い学校でも、良い方向を探ってみんなで伸びて行こうという姿勢が評価されているような気もします。

単に内申ランクで序列化された普通科よりも、自分にあったカラーのある学校を選びたいという受検生の気持ちが透けて見えます。将来についてしっかり考えて自分の志向にあった学校選びをしたいという受験生のニーズに合う学校が、偏差値に関わらず高倍率になる時代になって来ているのでしょうか。

まとめ

北海道では、今回の倍率を見て、別の公立高校に出願変更ができる期間を設けています。期間は1月28日午前9時から2月1日午後4時まで。希望の場合は中学校を通じて変更します。悩む方もいるでしょう。

私が子どもの受検を経験した時に感じたことは、子どもは出願するまでに、既にも十分進路について悩み、考えて志望校を決定したということです。おそらく今年の受検生の皆さんもそうでしょう。ラストスパートの大切な時期は、勉強に集中させてあげたいですね。

高い倍率が出ると不安になりますが、十分考えて決めた出願校を、そのまま受けさせてあげたいと思うのも親の自然な気持ちでしょう。受検生本人が決めたことを黙って見守るのは簡単そうで難しいことですが、自己決定した受検を乗り越えた先では、きっと大きく成長したお子さんの姿を見ることができるでしょう。

志望校を選ぶ時によく吟味し、受験を決めたチャレンジ校、実力相応校、安全校全てが魅力を感じられる行きたい「学校群」だと捉えられていれば、倍率にとらわれずチャレンジできる筈です。お子さんにとってベストの選択ができることをお祈りしております。

2019北海道公立高出願変更の中間状況は?出願変更は2/1まで